研究課題/領域番号 |
26330131
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
堀田 裕弘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80209303)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画質評価 / 生体情報 / NIRS |
研究実績の概要 |
・表情筋筋電図の利用について:JPEG符号化したHDTV静止画像を刺激素材とし、表情筋筋電情報により符号化劣化の客観評価の可能性があることを世界で初めて示した。さらに,主観評価値は,有意な表情筋筋電情報に加え,評価画像のエントロピー値と原画像のエントロピーの差分値を用いた回帰モデルにより精度よく推定できたことを示した.
・HDTV静止画像とHDTV動画像におけるNIRS利用について:生体情報はNIRS(Near-infrared spectroscopy)によって得られる脳血行動態について着目し,静止画像と動画像を観察した被験者の脳血行動態が,その呈示された動画像の画質と関連性が見受けられるか検証を行った.また,静止画像を観視する時の脳活動を分離するために,画像内容注目と画質注目の脳血行動態を測定した.その結果,好きな静動画像を観視する時,嫌い静動画像と比較して,前頭葉の右側頭野での脳血行動態においてoxy-Hb の上昇傾向が見られた.また,前頭葉の両側側,劣化静止画像を観視する時のoxy-HbのZ-score は減る傾向が見られたが,劣化動画像を観視する時にoxy-Hb のZ-score は増加する傾向が見られた.
・4K2K静止画像におけるNIRS利用について:4K2K解像度において,好みによってΔOxy-Hbと主観評価値の相関性に変化が見られるかを検討した.好きの画像群ではch16,嫌いの画像群ではch14で有意傾向が見られた.また,どちらでもない画像群に対してはch15で有意差があった.各画像群で有意水準p<0.10となったchに対してΔOxy-Hbの平均値と主観評価値で相関の近似曲線をとったところ,好き,嫌いの画像群では二次曲線となり,どちらでもない画像群では一次直線となった.よって,4K2K解像度においては,画像に対する好みの違いによってΔOxy-Hbと主観評価値の相関性に変化が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIRSと表情筋筋電情報をそれぞれ用いて、HDTV静止画像、HDTV動画像、4K2K静止画像の生体情報計測が行え、それぞれの条件下でさまざまな知見が順調に得られていること。
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今後の研究の推進方策 |
・4K静止画像から画像処理による表情認識情報抽出の調査:表情筋筋電は人に接触して計測する必要があるので、実応用を考えた場合は人に非接触での情報計測が望まれる。そこで、画像処理による表情認識法の調査を別途行い、4K高精細TVカメラ映像やサーモグラフィ映像などを用いて、その抽出精度の検証を行いその課題の整理を行う。
・計測データと官能評価データとのマッピングの検討(静止画像):計測データは、静止画像を観察した時間分(例えば、10秒間程度)の計測データが存在するが、官能評価では1つの数値として画像品質や印象が評価される。よって、時系列データから官能評価で得られる1つの総合評価値へのマッピングを考える必要がある。そこで、官能評価で得られる1つの総合評価値(総合的な画質評価値)と、計測データをデータ処理し終えた解析データとの相関性を精査し、総合評価値を推定するための、一連のマッピング処理法を検討し、その精度を検証する。
・計測データと官能評価データとのマッピングの検討(4K高精細TV):4K高精細TVの脳機能計測と生体計測で得られたデータ処理に関して、静止画像を対象とした場合と同様な検討を行う。また、計測データは、4K高精細TVを観察した時間分(例えば、10秒間程度)の計測データが存在するが、官能評価では1つの数値としてユーザ体感品質(Quality of Experience)値が得られる。よって、映像の特徴を生かした各時系列データからユーザ体感品質値へのマッピングを考える必要がある。そこで、官能評価で得られるユーザ体感品質値と、計測データをデータ処理し終えた解析データとの相関性を精査し、ユーザ体感品質値を推定するための一連のマッピング処理法を検討し、そのユーザ体感品質の推定精度を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国内学会への出張参加旅費が執行できなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の国内外の学会発表などの旅費として執行していく。
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