研究実績の概要 |
本研究計画は,クラウドサービスを始めとする社会の様々な情報サービスの基盤であるネットワークサービスを,高性能計算技術を活用することによって効率化するものである.最終年度となる平成29年度は,本研究計画を通じて構築したネットワークサービス基盤上において,試作ウェブアプリケーションを用いた負荷測定実験を行った.また,これまでの研究結果をまとめ,論文として公表した. 負荷測定実験においては,ネットワークサービス基盤への負荷傾向を実社会で運用されているウェブアプリケーションに近づけるため,多数の学生が参加する大学での講義を利用した測定環境を構築した.実際の測定においては,150 名以上が参加する講義において,ウェブベースのプログラミング演習環境を提供し,ネットワークサービスへのアクセスが短時間に集中的かつ非機械的に発生する環境を再現した.ウェブベースのプログラミング演習環境として,これまで本計画で実装してきたウェブプログラミング教育環境 FEHA (Front-end Environment for Hands-on Activities) を,より大規模利用に耐えるように洗練し,使用した.実験結果から,約 37 分間に生じた約 1,600 回のリクエストを本研究で作成したネットワークサービス基盤上で遅延なく処理できることを示した.さらに,FEHA を利用した講義についても,その有用性を示した.これらの実験結果をまとめたものは,専門家による査読を経て,学術論文として採録された. 今後は,本研究プロジェクトで実装・検証したネットワークサービス基盤のさらなる効率化を目指すと共に,同じく本研究で開発したウェブプログラミング教育環境 FEHA のオープンソース化と,より多くの教育事例への適用を目指す.
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