研究課題/領域番号 |
26330145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊達 進 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (20346175)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MPI / SDN |
研究実績の概要 |
本研究では、MPIプログラムの特性とSDN (Software Defined Networking)のネットワークプログラム性を連動させ、MPIプログラムを高速に実行する並列分散計算実行環境を実現する。具体的には、OpenFlow結合網を有する計算クラスタ上で、MPI通信によって発生するネットワークフロー系列をOpenFlowコントローラでプログラム制御することで、MPI通信、特に集合通信に要する時間の縮減を目的とする。二年目となる平成27年度は、前年度から継続となる「課題1.フロー制御アルゴリズムの設計・実装」に取り組み、後半期から「課題2. フロー制御命令列の記述方法、および、フロー制御命令列生成機能の設計・実装」へ移行していくことを計画した。本計画に基づき、平成27年度は下記を行った。 (b)フロー制御アルゴリズムの設計・実装 本ステップは前年度からの継続となり、前年度検討を行ったMPIのデバグ支援機能であるプロファイリング機能を活用したMPI通信系列・特製抽出手法の検討結果に基づき、取得されたMPI通信系列およびその特性と、ジョブスケジューラおよびOpenFlowコントローラから取得される、MPIプロセス群のノード上への配置情報、他のMPIプログラム等によるインターコネクトの利用状況、および、インターコネクトトポロジに関する情報に基づき、実行時において送信プロセス(群)から受信プロセス(群)への最適なデータ配送ツリーおよび配送手順を生成するフロー制御アルゴリズムの設計とプロトタイプ実装を行った。 (c)フロー制御命令列の記述方法、フロー制御命令列生成機能の設計・実装 本ステップでは、ステップ(b)で開発したフロー制御アルゴリズムの生成するデータ配送ツリーおよび配送手順の記述方法について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の3ステップを本年度までの研究計画に定め、研究を実施した。 (a) 関連研究・技術調査 (b)フロー制御アルゴリズムの設計・実装 (c)フロー制御命令列の記述方法、フロー制御命令列生成機能の設計・実装 その結果、(a)(b)は予定通り完了済みである。(c)については本年度および次年度で実施する計画となっており、当初予定通り、本年度実施予定のフロー制御アルゴリズムの生成するデータ配送ツリーおよび配送手順の記述方法について検討を完了している。(c)の残課題となる実装については、次年度に完了する予定である。このことから、本年度の達成度は、当初予定通りであり、順調に進捗していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度からの継続となる「課題2. フロー制御命令列の記述方法、および、フロー制御命令列生成機能の設計・実装」を推進し、後半期より「課題3. 実環境での性能評価と有用性検証」へと移行する。この間、下記の(c)(d)を実行する。
(c)フロー制御命令列の記述方法、フロー制御命令列生成機能の設計・実装:ステップ(b)で開発したフロー制御アルゴリズムの生成するデータ配送ツリーおよび配送手順の記述方法について設計する。その後、フロー制御アルゴリズムが出力するデータ配送ツリーおよび配送手順を設計した記述方法に従ってフロー制御命令列として生成する機能を設計・実装する。 (d)実環境での性能評価と有用性検証: OpenFlow網をインターコネクトとする実際のクラスタシステム(28ノード:12cpu/ノード)に、Oracle Grid Engineなどのスケジューリングシステム、前ステップまでに開発したフロー制御命令列ジェネレータおよびOpenFlowコントローラを配備し、Intel MPI Benchmarkや、実際の科学計算で利用されているMPIプログラムを利用して、MPI_Alltoall、 MPI_Reduce、MPI_Bcast等の集合通信の性能評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたフロー制御命令列ジェネレータおよびOpenFlowコントローラ配備用サーバおよび関連消耗品について、既存のサーバおよび消耗品の代用により、研究経費の削減が可能となった。また、当初予定していた国際会議発表を次年度に変更したことも要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度となる次年度は、成果報告、調査報告に関連した旅費が当初よりも増となることを想定している。また、よりよい研究成果導出のために、当初予定よりも評価実験・実装を拡充することを計画している。また、成果発表に注力することを予定している。
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