| 研究実績の概要 |
本研究では、MPIプログラムの特性とSDN (Software Defined Networking)のネットワークプログラム性を連動させ、MPIプログラムを高速に実行する並列分散計算実行環境を実現する。具体的には、OpenFlow結合網を有する計算クラスタ上で、MPI通信によって発生するネットワークフロー系列をOpenFlowコントローラでプログラム制御することで、MPI通信、特に集合通信に要する時間の縮減を目的とした。平成29年度は、平成28 年度実施した「課題3. 実環境での性能評価と有用性検証」における、(d) 実環境での性能評価と有用性検証において,
研究成果となるフロー制御命令列ジェネレータをより実用的かつ有用的な成果にするために改良および機能拡張部分を追加評価した。より具体的には、冗長経路を有する相互結合網トポロジとして、今日の計算クラスタシステムで多く採用されるファットツリートポロジを想定し、改良・機能拡張したフロー制御命令列ジェネレータおよびOpenFlowコントローラを利用した実際のOpenFlow相互結合網を有する計算クラスタ上で、MPI_Bcast、MPI_Allreduce等のMPI集合通信のためのフロー制御アルゴリズムの実行時間、オーバヘッド等の計測実験をおこない、本研究での提案手法がMPI集合通信に要する時間の縮減に有効であることを確認した。同時に、さらなる縮減には通信と計算を連携させる技術開発が必要であることを示した。また、これらの研究成果を国際会議論文、および、論文誌にまとめるとともに、当該成果の利用促進にも努めた。
|
