研究課題/領域番号 |
26330146
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小林 泰三 帝京大学, 福岡医療技術学部, 准教授 (20467880)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高性能計算 / 分散処理 / 連成計算 / ポスト処理連携 / 通信スキーム / 不確定要素対応 |
研究実績の概要 |
大規模な計算環境を比較的自由に使える状況が実現されてきている。そのような環境ならではの計算方法のひとつに連成・連携計算があり、近年活発に研究開発がなされてきている。その一方で、既存の独立した数値シミュレーションにおいても可視化を代表とするポスト処理でのファイルI/Oが新たなボトルネックとして問題になってきている。これはI/Oベースの連成計算が抱える重要な問題であるが、有効な解決策はいまだ研究開発の途上である。 本研究課題の目的は、大規模な連成計算において「要素技術の核になる通信スキーム」を研究開発することにより、(1)他拠点関連性計算の要素技術を整理することと、(2)既存の単体の数値流体計算において、数値計算とポスト処理をファイルI/Oを経由せずに連成させることにより、数値シミュレーション研究全体のボトルネックを解消すること、である。 2年目である平成27年度は、前年度の研究開発成果をもとに、ポスト処理連携の多拠点化対応についての研究開発を行った。具体的には、研究代表者等がエアリード楽器の発音機構解明のために行っている数値流体音シミュレーションに用いている OpenFOAM を対象にして、前年度に試験実装したソケットベースの通信スキームの問題点を整理した。OpenFOAM のC++クラス構造の理解不足を原因としたソルバートポスト処理間での不整合がいくつか見つかり、設計の改善を行った。ソケット通信は連携研究者の森江(九大)が開発した nstdio を用いて整理する道筋がたった。また、ポスト処理連携の多拠点化対応は、連携研究者の實本(東工大)が研究開発した exgcoup により、ファイルベースでの多拠点間連携の基礎を実現できた。さらに、複数の数値計算を制御する際に必須である不確定要素対応の研究も進め、新しく提案する制御機構とオートポイエーシスとの関連性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目である平成27年度は、当初の予定であるポスト処理連携の多拠点対応と、多拠点をまたぐ管理機構の研究を、ほぼ計画通りに進めることができた。しかしながら、OpenFOAM への実装面に設計上の不具合が見つかり、試験実装の域を出ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、本研究課題の最終年度である。これまで概ね計画通りに進めてこれているので、ポスト処理連携の基盤センターサービスとしての提供を目指すとともに、多拠点関連性計算の実現可能性の研究を進める。また、多拠点間管理機構としての不確定要素対応技術の研究開発では、本年度に知見を得たオートポイエーシスの研究成果も新たに考慮に加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定にしていた計算機の発売が延期されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
発売が延期された計算機を購入する。
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