研究課題/領域番号 |
26330149
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉田 典正 日本大学, 生産工学部, 教授 (70277846)
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研究分担者 |
斎藤 隆文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60293007)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 対数美的曲線 / 曲率対数グラフ / 曲率 |
研究実績の概要 |
従来,曲率対数グラフが直線になる曲線として対数美的曲線が提案されてきたが,この拡張として,曲率対数グラフが2次曲線になる曲線の生成法および基本的な性質の解明を行った. 対数美的曲線は,曲率変化の単調性だけでなく,曲率対数グラフの直線性という強い制約を持つため,曲線をそのままG^2 Herimite補間(両端点の位置,接線方向,および曲率を生成した曲線補間)に,そのまま利用することは困難であった.このため,曲率の単調性を維持しながら,曲線の表現空間のより広い曲線が望まれていた.そこで,本研究では,より広い表現空間の曲率変化の単調な曲線を生成するために,曲率対数グラフが2次曲線となる曲線の生成および基本的な性質の解明を行った.曲率対数グラフが2次曲線となる曲線を生成するために,曲率対数グラフの0次の項に対応するΛ,1次の項αに加えて,2次の項γを導入した(γ=0の場合は従来の対数美的曲線に一致する).曲線の生成には,誤差関数erfおよび複素誤差関数erfiの逆関数が必要であるが,現状では2分法とNewton法を組み合わせたハイブリッドな手法が最も安定して曲線の生成ができている.また,曲線の性質については,γの値が負の場合にはα,Λの値に依存せず曲線長が有限になり,γの値が正の場合には曲線長が無限になることなどの性質の解明を行った.γが負の場合には,有限の曲線長で曲率が0の点(変曲点)および無限大の点を持つ曲線となり,今後CAD分野への応用の可能性を調べていく予定である.また,CADシステムに広く利用されている曲線の性質への応用を考えて,3次多項式および有理Bezier曲線の曲率変化の性質を調べる研究も行っった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的の一つとしていた曲率対数グラフが2次曲線となる曲線の生成および基本的な性質の解明ができたので,おおむね順調に進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
曲率対数グラフが2次曲線となる曲線の生成及び性質の解明ができたため,今後,この曲線を用いて,曲率変化の単調性を維持させたG^2 エルミート補間(両端点の位置,接線方向および曲率が指定された曲線の補間)への可能性を調査していく予定である. 従来の対数美的曲線よりも適用可能な範囲が広いことは確実であるが,どの程度広いのかなどを調べていく予定である.具体的には,曲線のパラメータ(γ,α,Λ)および両端点の接線方向が指定されたときに,曲線の全体像から両端点の位置と接線方向を満足させるような曲線セグメントを抽出し,曲線のパラメータを様々なに変化させることによって,どの程度広い範囲の曲率に対応するかということを調べていく.また,美的曲面の生成やビジュアルシミュレーションへの応用の可能性に関する研究も継続して行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,(1) 開発用のコンピュータを他の予算で用意することができたこと,(2)今後より最新のコンピュータ及び機器を利用して効率的に開発を行っていくこと,及び(3)今後の研究発表などのための旅費などに利用するためである.
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次年度使用額の使用計画 |
開発・実験用のコンピュータ,研究発表用の旅費,および謝金などに使用予定である.
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