研究課題
本課題の目的は,内的な思考への注意すなわち「考え続けることへの集中」の揺らぎに結び付く自発的な神経活動を解明し,その知見をもとに集中力持続を支援する技術を開発することである.最終年度のH28年度はこれまでの研究を発展させる以下のような研究を行った:①内的思考の多様性は,脳の機能的結合の動的な変動に支えられているという仮説を,300人超の大規模サンプル安静時fMRI実験で検証した.安静時fMRIから抽出した機能的結合ダイナミクスの変動性と,新たに開発した安静時内的経験質問紙(RSIEQ)で捉えた経験の多様性との対応を探る解析を行った.その結果,空間的にも時間スケール上も不均質に分布する内的経験の多様性に貢献する機能的結合ダイナミクス特徴が同定できた.この成果は国際的ジャーナルに投稿済みで,査読コメントを受けリバイズ中である.②ポジティヴな思考/ネガティブな思考という情動価の自発的揺らぎの神経基盤解明に向けてのfMRI研究において,同じ情動価での思考の持続や思考情動価の切り替わりで有意に活動変化脳領域の同定に加え,機能的結合の条件差をとらえるPPI解析や個人特性との相関解析を行い,結果を拡張した.研究成果はH28年度6月の国際会議で発表した.さらに国際ジャーナルへの投稿論文を執筆中である.③実世界での脳機能計測応用に適したfNIRSを用いた研究では,アイディア思考を集団でコミュニケーションしながら行う場合と個々人独立に行う場合とで比較したとき前頭極の脳活動ダイナミクスの個人間同調性が変化することを確立し,国際ジャーナルに論文発表された.そこで確立した手法を用いて実世界指向の様々な集団インタラクションのなかでの脳機能同調研究に発展させ,論文・学会発表などを行った.さらなる論文投稿も準備を進めている.さらにニューロフィードバックの枠組にアイトラッカーも導入し,テストと改善を進めた.
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Frontiers in Human Neuroscience
巻: 11 ページ: 147-1--10
10.3389/fnhum.2017.00147
NeuroImage
巻: 133C ページ: 484-497
10.1016/j.neuroimage.2016.03.059