研究課題
これまでに行ってきた2つの実験を総括した。実験では不快刺激動画のフィクション性の認知がプロテクティブフレームとして機能することで、不快感情が低減し、さらには接近行動に関連した興味や関心といった評価が高まることを検証した。両実験を通じて不快動画は恐怖と嫌悪を喚起する動画を刺激とし、実験1ではフィクション性の高低、実験2では動画のフィクション性を10段階に拡張し、動画の種類によらない一般性の確保を目指した。フィクション性評価と、ポジティブ、ネガティブ感情得点や興味、関心、動画の続きが見たいかなどの主観評価得点の相関分析を行うと、恐怖と嫌悪感情でフィクション性の作用に多少の差異はあるものの、フィクション性がネガティブ感情を抑制し、接近行動を動機づける機能を持つことが主観評価から確認できた。一方で、こうしたフィクション性の効果を生理的反応から理解するために記録した脳波と心電図データについて分析を進めた。心電図はRR間隔の変動係数がフィクション性得点と相関していた。脳波につては動画視聴中に記録した全頭部を包含する21chの自発脳波をマイクロステイと分析した。マイクロステイと分析は瞬時の脳電位マップの特徴と出現パタンから脳活動を分析する方法である。分析の結果、フィクション性との間には明瞭な対応関係が発見できなかったが、これまでに報告されている安静時の脳電位マップとは異なるマップ特徴をもつ電位マップが複数確認されたので、これらのマップが動画視聴中の感情反応に関わる電位と推測された。今後は検出された特徴的な脳電位マップに注目することで、不快感情がもたらす接近行動の解明につながるものと思われた。
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International Journal of Affective Engineering,
巻: 16(1) ページ: 37-41
. doi:10.5057/ijae.IJAE-D-16-00044