研究課題/領域番号 |
26330182
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
小川 時洋 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (60392263)
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研究分担者 |
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (80356162)
常岡 充子 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80623199)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アイトラッキング / 記憶検出 / 隠匿情報検査 / 瞳孔径 |
研究実績の概要 |
今年度は,前年度に行った隠匿情報検査の指標としての瞳孔径変化の相対的有効性について再度分析したほか,従来指標に瞳孔径を加えた場合の増分妥当性についても検討を行った。 前年度に行った瞳孔径による隠匿情報検査における記憶の有無の識別能と,現在の実践場面で用いられている皮膚電気活動,心拍数,規準化脈波容積,呼吸運動の各指標の識別能との比較では,瞳孔径は皮膚電気活動に次ぐ有効性を持つことが示された。この前年度の分析では,計測上の問題から瞳孔径の測定ができなかった実験参加者のデータも用いて,識別能を比較していた。今年度は,有効な瞳孔径データが得られた実験参加者に限定して,再度分析を行った。各指標について,記憶あり・なし条件で関連・非関連項目間の差分を求め,受信者動作特性(ROC)曲線下面積によって識別能を比較した。その結果,瞳孔径の識別能は,皮膚伝導度反応,規準化脈波容積に次いで高かった。この結果は,前年度の分析結果とほぼ同じであり,隠匿情報検査の指標としての瞳孔径が,従来指標と比べて遜色のない有効性を持つことを示す。 さらに,従来指標に瞳孔径を追加することにより,識別能が増加するかどうかについても検討した。各指標に標準化処理を施し,従来指標のみの平均値と,瞳孔径を含めた平均値を算出した。これらの統合指標の識別性を求めたところ,いずれもROC曲線下面積として.90以上の良好な識別能が得られたが,数値としては瞳孔径を加えた方が僅かに識別能が高かった。以上の結果は,瞳孔径を追加することによる増分妥当性を示唆するが,サンプル数の少なさに留意する必要がある。
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