研究課題/領域番号 |
26330183
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
佐久間 尚子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70152163)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知加齢 / 縦断研究 / 介入研究 / 高齢者 / ボランティア活動 / 世代間交流 |
研究実績の概要 |
本研究では,高齢者の認知機能の維持・改善に向けた社会参加・ボランティア活動の有効性とその長期効果を検証することを目的に平成16年度から全国3地域で開始した高齢者向け学校ボランティア事業「りぷりんと」の,10年目の追跡研究を行った.「りぷりんと」では,高齢者ボランティアが地域の幼稚園や小学校などに出向いて,子どもたちへ絵本の読み聞かせ活動を定期的に行っている.本研究では,「りぷりんと」ボランティア高齢者と,健診のみ受診する対照高齢者の2群に対して,記憶,言語,知識,処理速度に関する8種の個別認知機能検査と質問紙調査を毎年実施し,ボランティア活動の継続効果を検討している.今年度は,10年目の追跡評価を完了し,データの電子化作業を完了したが,十分な分析を行って研究成果を発表するまでには至らなかった.そこで,本研究の継続を1年延長することとした. 本年度は,中間報告として,追跡7年目までのデータ,および10年目の予備的分析結果について国際学会で発表した.追跡7年目の質問紙調査において,ボランティア高齢者は対照高齢者より,日常の知的活動を維持し活動頻度が高く,日常の記憶の失敗(健忘頻度)も維持し増加しないという介入効果が認められた.また,「りぷりんと」活動の長期継続化を図るため,各地区の連携を図るNPO「りぷりんとネットワーク」の活動維持にも参画した.今年度も実践活動の一端として,地域間ネットワークを図るエリア連絡会を開催し,活動維持の問題点を共有してその対策を検討するとともに,高齢者ボランティアの後継者育成に必要な読み聞かせインストラクターの養成事業を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度計画した10年目の追跡調査(会場健診)は,3地区すべて完了した.また,調査の主データとなる認知機能検査における口頭反応の録音データの書き起こし採点と,その電子化作業もすべて完了した.また,研究成果の報告として,すでに追跡調査を完了している7年目の追跡結果について,学会発表を行った.しかしながら,今年度は,研究代表者,連携研究者とも,別の新規研究事業で多忙となり,研究成果の分析と論文化が遅れた.また,当初,今年度末の3月に予定されていた調査対象者への報告会の日程が,次年度の6月以降に変更になった.以上の事由により,本研究事業の延長の必要が生じた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,本研究事業の最終年度として,データを分析し研究成果をまとめる.すでに完成している認知機能検査の得点データベースと質問紙調査の全データを突合して,総合データベースを完成し,これに基づいて,本プログラムの介入効果と10年間の認知機能の加齢変化について分析し,総合考察する.そして得られた研究結果について学会発表し,論文報告する.また,研究参加者や地域住民に対して報告会などを通して,成果の普及・還元を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度が本研究の最終年度であり,追跡調査自体は完了し,データの電子化作業も完了したものの,研究成果の分析および発表が遅れたため,研究期間を延長した.
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次年度使用額の使用計画 |
余剰金はすべて研究成果の発表に充てる.学会発表のための旅費,参加費,論文投稿のための諸経費に充てる.
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