研究課題/領域番号 |
26330184
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
永田 仁史 岩手大学, 工学部, 准教授 (40301030)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スーパーツイータ / ビームステアリング / パラメトリックスピーカ / パラメトリックアレー |
研究実績の概要 |
H26年度の目標は、スーパーツイータを用いたビームステアリング可能なパラメトリックスピーカシステムの開発だった。まず、スーパーツイータによる広帯域パラメトリックアレーについて検証するため、最初に高分子振動板使用の「BUTPURE」なる製品100個を用いてスピーカアレーを製作したが、これは出力音圧が低く、高耐圧オペアンプを用いたアンプを製作し、定格限度に近い高電圧で駆動してもパラメトリックアレー現象が起きないことが確認された。そこで、次に、通常の可動コイル型のスーパーツイータ(KENWOOD KFC-ST1000)を32個用いて試したところ、パラメトリックアレー現象によるものと思われる音が再生できた。従って、広帯域化に関しては今後、この素子を用いて検討することとした。一方、ビームステアリングシステムの開発に関しては、32chのオーディオインターフェース装置1台とセラミック振動子によるアレースピーカを用いた一次元のステアリングシステムを開発し、無響室において放射実験を行って指向性パタンを測定し、およそ±20度の範囲で一次元のステアリングが行えることを確かめた。この結果については、H26年度の第2回情報処理学会東北支部研究会において、「パラメトリックスピーカのビームステアリングに関する研究」(資料番号14-2-11)、および、「パラメトリックスピーカ駆動システムの信号処理に関する研究」(資料番号14-2-10)と題して研究発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スーパーツイータを出力デバイスとして用いた2次元ステアリングシステムが目標であったが、当初検討したデバイスの出力音圧不足がアンプなどの駆動装置によるものなのかを確かめるため、高耐圧アンプや電源の開発などの試行錯誤を行い、時間を費やした。また、多チャネルインターフェースの駆動プログラムの安定化に思いの外時間を要し、一次元のステアリング処理システムの完成が年度末になってしまった。また、開発に用いているオーディオ入出力のプラットフォーム(ASIO)は、複数台のインターフェース装置を同時に扱う上で制約があることが開発途中でわかり、用いているインターフェース(Orion32)はASIOでしか動かないため、そのままでは2次元ステアリングシステムの開発にとりかかることができなくなった。以上の理由により、本年度の達成目標に対する遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
広帯域化については、可動コイル型スーパーツイータを用いたスピーカアレーによって検討することとしたが、今のところ出力音圧が低いので、これは広帯域化が可能か否かの検証だけに用いることとし、したがって、ステアリングシステムによって駆動する対象は、従来のセラミック素子として研究を進める。また、2次元のステアリングに必要な多チャネル信号を得るために複数のオーディオインターフェースを動作させる必要があるが、現在用いている装置(Orion32)は、その点で制約のあるASIOというプラットフォームでしか動かない。これを克服するソフトウェアが開発済との情報があるので、それを入手する予定であるが、入手に手間取るようであれば、複数のPCによる並列システム、または、ASIO以外で動く他の装置(例えばMOTUのDA24)を複数台用いたシステムについて検討する予定である。この装置(DA24)についてはすでに1台保有しており、5台までサンプル同期で動作する仕様であることを確かめてある。さらに、2次元のステアリングを1次元のステアリング装置2台を用いて行う方法について着想しており、この方法の場合、装置間のサンプル同期は不要、且つ、チャネル数も少なくてよく、この手法によるシステム開発も視野に入れている。当初の方法でシステム構築できない場合は、この手法のシステムを開発することとする。一方、パラメトリックアレーによる空間計測システムは、まず、現状の一次元走査システムに関して開発を進めることとする。
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