研究課題
本研究課題では,ヒューマンロボットインタラクションなどへの応用を想定し,レーザ測域センサと全方位カメラを取付けたポールを観測領域中にいくつか置くだけで,複数人の実時間追跡を行い,人物の移動軌跡の計測や,行動パターンの学習や識別を行う手法を開発することをめざした.本研究の成果として,まず,観測領域中の複数の人物を身体の向きを含めて実時間追跡する手法を確立した.また,個々の人物の追跡結果からクループ行動を学習し,その学習結果に基づいて,追跡中の人物のグループの識別を可能とした.この成果の実証実験として,岡山県の大原美術館にご協力頂き,実際の美術館で人物行動の計測を行った.実証実験では,個々の人物動線の獲得,グループの識別に加えて,カーネル密度推定を用いて,計測対象領域における滞留時間分布の視覚化も行った.その結果,来場者の絵画鑑賞行動をAnt型,Fish型,Butterfly型,Grasshopper型の4つの種類に分類することができた.また,この実証実験により,人物相互遮蔽に起因して安定した追跡が継続できない場合があることが明らかとなったため,人物相互の遮蔽によって発生する観測不能領域をシステム内で明示的に把握し,観測不能領域の不確定性を考慮した追跡手法を開発した.さらに,追跡中の個々の人物に,それぞれ個別のサービスを提供することを目的に,ユーザが所有するスマートフォンに搭載されたジャイロセンサや加速度センサ,地磁気センサから得られる情報を統合し,ユーザの同定を可能とした.特に,基盤となる追跡システムによって,身体の向きが計測可能であることから,従来のスマートフォンを使用した歩行者追跡手法よりも高精度に人物同定が可能となった.これらの取り組みによって,観測領域内の人物行動の高度な解析が可能となった.
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IIEEJ Transactions on Image Electronics and Visual Computing
巻: vol.4, no.1 ページ: 20-31
ACM Transaction on Interactive Intelligent Systems
巻: vol.4, no.21 ページ: 1-21
10.1145/2844542