夜間の歩行をKinectにより測定し、動作データをKL展開したときの固有空間上で個人認証を行った。このとき、身体のサイズデータも合わせて使用した。 初年度:高次固有空間の使用による識別率向上 2次元までの低次固有空間での識別率が50%程度であったが、10次元までの高次固有空間では83%までに向上した。第2固有値までの累積寄与率が50%であったのに対し、第10固有値までの累積寄与率が93%であったことから、高次の動作特徴が識別率の向上に寄与したと思われる。 次年度:衣服や携帯物の影響調査及び動作と身体サイズの併用による識別率向上 Kinectでは携帯物は身体の一部として認識されることもあり、今回の研究ではバック等の携帯は対象外とした。また、衣服については夏物を着用しているときのほうが冬物よりも識別率は高かった。本研究では夏物着用を対象とした。 動作特徴による個人識別法は、高次固有空間法と相互部分空間法を使用した。一方、身体サイズを特徴として最近傍決定則に基づく識別を行った。その結果、動作に基づく識別法として、高次固有空間法では平均識別率は57%、相互部分空間法では60%となった。一方、身体サイズに基づく識別法では80%の高さであった。さらに、これら3種類の結果を最小順位和を用いて統合した結果、平均識別率は90%に達した。 最終年度:Kinectセンサネットワークによる不審者のリアルタイム検出 Kinectの測定レンジが狭く足早の歩行動作が測定し辛く、赤外線レーザの投射による身体への影響が無視できない。そこで、当初予定を変更し受動型の遠赤外線カメラによる動作測定法を検討した。まず、遠赤外線ステレオカメラによる立体復元を確認した。ついで、センサの向きをパン回転させることにより左右方向の撮影レンジを、さらに解像度を上げることにより奥行方向の撮影レンジを向上させることができた。
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