最終年度である本年度は、「アウトライアを含んだ点列からの楕円弧検出手法」について更に楕円弧の抽出能力を向上させた手法を提案した。具体的には、分割した部分弧から楕円上の点列を判別する方法として、前年度に提案した誤差グラフの形状に基づいた評価値ではなく、部分弧ごとに楕円当てはめをした当てはめ誤差に基づいた評価値を用いる方法を提案し、実験よりその有効性を示した。 また、検出した楕円弧から同一の楕円に属する楕円弧を見つける手法について、我々が提案した幾何学的モデル選択に基づいた方法の問題点を解決する方法を提案した。これは、検出したすべての楕円弧を統合判定の対象にするのではなく、その点列に当てはめた楕円をもとに、その楕円の位置や、形状、楕円に対する点列の分布を手掛かりにして、同一楕円に属する可能性のある楕円弧のみを統合対象とするものである。これにより、従来手法よりも計算時間を削減できることを確認した。 最後に、上記の技術を取り入れた博物館を対象とした複合現実感システムを開発し、動作確認を行った。そして、研究成果の一部を学会発表し、論文として投稿中である。
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