パターン認識やコンピュータビジョンにおいて,2 値画像中の対象物を認識するためには対象物の特徴量が必要である。円形度、周囲長、中心などの特徴量については,ラベル付け処理によって容易に求められるが,回転、拡大・縮小、弾性変形において不変な位相特徴であるオイラー数はラベル付け処理とは別処理によって計算しなければならない。そのため,リアルタイム性を要求する画像認識システムにおいては,致命的な処理遅延となり得る。本研究では,2値画像中の物体特徴計算に欠かせないラベル付けアルゴリズムの効率化、物体特徴のひとつオイラー数の計算の効率化およびラベル付けとオイラー数計算の同時実現について次の研究成果を上げた。 (1) 六角形画素画像の連結性を考慮した効率的な六角形画素画像のラベル付けアルゴリズムを提案した;(2) 構造変換に基づいた効率的なラベル付けアルゴリズムを提案した; (3) 画像を三行ずつ処理する効率的なラベル付けアルゴリズムを提案した。本アルゴリズムは現時点では、世界一高速のアルゴリズムである; (4) グラフ理論に基づいたオイラー数計算のアルゴリズムを提案した; (5) ビットコッドに基づいたオイラー数計算アルゴリズムの改良を行った; (6) ラベル付けとオイラー数を同時計算するアルゴリズムを提案した。
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