研究課題/領域番号 |
26330201
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
森本 雅和 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10305683)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像認識 / 物体識別 / 距離画像センサ |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究計画で予定していた項目のうち,「1.上部に位置し全領域が視認できているが,姿勢が傾いた物品の識別精度向上」について,RGB-Dセンサにより物体の傾きを検知し,物体画像を正面化補正することで,識別精度を改善可能であることを確認した. パンなどの複雑な計上を持つ物体では,距離画像のノイズにより,正面化補正を正しく行えず,識別率が低下する場合もあったため,距離画像のノイズ対策を行う必要がある. また,容器に入れられた商品の場合,大きな平面を持ちその平面に物体識別のための十分な情報を保持しているため,距離画像からの正面化作業により,画像の局所特徴点の対応付けから物体識別を十分な精度で実現できることを確認した.しかし,ペットボトルのように容器に大きな平面領域がない場合,平面近似を用いた物体識別では十分な精度が得られなかった. 一方,「2.複数の角度からの撮影による識別精度の改善」について,購入したロボットアームの先端にRGB-Dセンサを取り付け,積み重なった物体を周囲から一定の間隔で撮影した一連の画像群の中から,2つの視点情報を抽出し,合成することで識別精度を改善する実験を行った結果,積み上げられた物体のうち,下になり一部が隠蔽されている物体について,90度の角度差で取得したデータを合成した時,もっとも識別率が向上することを確認した.これは,角度差が小さいと取得できる情報量が少なく,角度差が大きすぎると2視点からのデータを合成することが難しくなるためである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重畳した複数の物体を認識する場合,上になって姿勢が変化している物体は,物体の姿勢を推定し正面化(標準化)することで必要な識別精度を得られること,下になって一部が隠蔽されている物体は,複数の視点からの情報を合成することで,識別精度を改善できることが確認できた.複数の視点からの情報を合成する際には,視点間の角度が小さいと追加で得られる情報量が少なく,角度が大きいと取得した3次元データの合成が困難となるため,90度程度が最適であることを確認した. また,容器に入れられた物体の識別では,大きな平面を持つ物体であれば,RGB-Dセンサで取得した形状情報を元に,ラベル面の正規化を行うことができれば,十分な精度で物体識別が可能であることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
重畳した複数の物体を認識する場合,他の物体に大部分を隠蔽された物体は,そのままでは識別することは不可能である.よって,本年度の研究では,「1.上にある物体の識別結果から,下に隠蔽された物体が存在することを予測すること」,また,「2.上にある物体が移動し,下に隠蔽されていた物体が表面に露出した際に,自動的に検知し識別すること」が必要である. 項目1では,識別した物体の事前にデータベースに登録された形状情報と,撮影した距離画像からの情報を比較することで,下になっている物体の有無を判定することが必要とされる. 項目2では,上にあった物体が移動することで,これまで一部しか見えていなかった物体が全て見えた場合,一部の情報だけで予測していた候補を元に物体の識別を行うことができれば,追加識別の速度を向上させられると考えている. また,RGB-Dセンサだけでなく重量センサなども組合せ,一連の作業の中ですべての物体を自動的に識別するシステムを構築することを目的とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では,100万円程度の1台のロボットアームを購入する予定にしていたが,新しく発売されたより安価なロボットアームでも,当初予定していた機能を満たすことが判明したため,スペックの異なる3台のロボットアームを購入した.3台の合計金額でも50万円程度であったため,結果として使用額が当初の予定を下回り,残金が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
8月にプエルトリコにて開催される国際学会にて研究成果を発表する予定であり,今回生じた次年度使用額は,発表者である担当学生の旅費および学会参加費に充てる予定である.
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