本研究の目的は,集合論的な画像処理の体系であるマセマティカルモフォロジーを画像の復元・再構成問題へ応用すること,および,既存のモフォロジーを拡張し,新しい非線形フィルタの体系を構築することにある.復元・再構成問題への応用では,集合演算で定義される画像の輝度変化を先見情報とする正則化法を提案し,画像の細部を保存しつつ,ガウス性雑音を除去する雑音除去法,および画像の局所構造のサイズに基づく成分分離法を提案した.既存のモフォロジーの拡張では,集合論的画像処理の構成要素である最大値関数,最小値関数を凸関数と凹関数のクラスへ拡張し,モフォロジーの高速処理の特性を生かしつつ,高精度の画像処理を実現した.
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