研究課題/領域番号 |
26330212
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
徐 剛 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90226374)
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研究分担者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
韓 先花 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (60469195)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像認識 / 医用画像処理 / 3次元 / アラインメント / 変形 / ボリュームデータ / CT / MRI |
研究実績の概要 |
過去の2年間は、医用ボリュームデータにおける肝臓を主成分線形変形と位置姿勢スケールの各パラメータの全探索を用いて全自動で位置決めをする問題設定に対して、アルゴリズム考案を経て、ソフトウェア実装、CUDAによる並列処理による高速化、評価実験をしてきた。従来、ボリュームデータに対する人手による肝臓の切り出しに6時間がかかっていた作業が、90秒で人間の手を一切経由せずに全自動で実現可能となった。52例の評価実験の結果、肝硬変などの特異な3次元形状を持つ3例以外は全て、全自動で位置決めと切り出しができた。この結果は、当初の位置決めに留まらず、病気の診断にも使える可能性があることを示唆した。GPUによる高速化をしなければ、15分程度の処理時間がかかったが、GPU・CUDAによる高速化を導入すれば、1分半程度で処理が終わった。更なる高速化の余地はあるが、既に実用レベルに達しつつある。 本件は国際会議で2回発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムは次の処理の通り。1.3次元形状の統計モデルの作成、2.ボリュームデータにおける表面点抽出、3.ボリュームデータに対する3次元形状モデルの全探索と評価、4.上位8個の解に対する最適化と最終解の確定、5.並列化による高速化 1.3次元形状モデルは肝臓表面上にランダムに分布する点集合(約1000点)で表される。30の肝臓モデル間でこれらの点集合の対応付けをして平均モデルを作成し、それらとの差ベクトルで共分散行列を構成し主成分分析を行った。固有値の大きさ順で8個の主成分を選び線形変形モデルを作成する。これらの主成分の係数を変えることにより、90%の割合で学習に参加した3次元形状モデルを表現できる。また、相当の割合で学習に参加していない正常な肝臓も表現できる。但し、主成分の係数は未知であり探す必要がある。 2.肝臓のボリュームデータに対して、2次元画像からエッジを抽出するCannyフィルターの3次元拡張版を用いて表面を抽出する。その際、肝臓表面の法線方向も同時に出す。 3.肝臓ボリュームデータにて抽出された表面に対して3次元形状モデルをあてはめたい。その未知パラメータは、3次元モデルの位置を表す3次元座標・姿勢(向き)を表す角度3・3次元モデルの拡大縮小を表すスケールパラメータ1・変形を表す主成分係数パラメータ8の計15個。各々をサンプリングし、その全ての組合せに対して3次元形状モデルと実際に得られたボリュームデータにおける3次元肝臓表面との間でどの程度の差があるかを評価し、差が最も小さい未知パラメータを8セット選ぶ。8は実験で決めた数字で、正解は8個の初期解の中に必ず含まれることが実験で判明済み。 4.8個の初期解に対して上記の差が最小となる様に非線形の最適化を行う。最適化した後の差が最小となる解を正解とする。 5.CUDA言語を使ってGPUで実装し、10倍以上の高速化を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、 1.線形変形モデルで表現しきれない、最後に残ってしまう形状の差をスプラインで表現し、実際の肝臓形状に更に近づく研究をしたいと考えている。 2.陳研究室と共同で実際に病院で使えるシステムを構築したいと考えている。 3.学会発表していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
高性能PCや謝金の誤差の範囲と考える。
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次年度使用額の使用計画 |
高性能PCの補助部品や謝金で執行させていただく。
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