研究課題
我々は、mp3圧縮などの種々の信号処理に対する耐性を有する音楽電子透かし手法をベースにして、再帰的に透かし情報の埋め込み処理を行うことで、埋め込み容量の増大を可能とした多層型音楽電子透かし手法を既に提案している。本研究では、この多層型音楽電子透かし手法の階層数を動的に制御することで、所望の音質を確保するという条件下で、付加データ容量を最大化し、音質と付加データ容量との両立を実現する手法の開発を目的としている。平成26~27年度の研究成果として、国際電気通信連合(ITU)より勧告されているオーディオ信号を対象とした客観品質評価法であるITU-R BS.1387-1(PEAQ)をベースとして、新たなニューラルネットワークを追加することにより、多層型音楽電子透かし手法を適用した楽曲の音質評価に適した客観的評価手法の開発を実施した結果、コンピュータによる客観的音質評価で自動的に音質劣化を評価することが可能となった。平成28年度は、多層型音楽電子透かし手法の階層数を変化させることで、透かし情報の埋め込み処理を施した複数の音響信号を作成した後、上述の前年度までに得られた研究成果である客観的音質評価手法を用いて音質評価を実施した結果に従って、所望の音質を確保するという条件下で付加データ容量を最大化できた音響信号を選択するシステムを構築した。さらに、本手法を適用した楽曲(クラシック音楽とロック音楽)を対象とした主観的音質評価実験を実施し、有効性の検証を行った。なお、上述の研究成果については、学術論文1件、国際会議プロシーディング2件および国内学会発表9件を通じて広く一般に公開した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (9件)
Advances in Intelligent Information Hiding and Multimedia Signal Processing
巻: 1 ページ: 107~114
Proceedings of 11th International Symposium on Broadband Multimedia Systems and Broadcasting
巻: - ページ: 249~252
Proceedings of International Conference on Circuits/ Systems, Computers and Communications
巻: - ページ: 677~680