研究課題
人々の健康や精神的豊かさへの貢献を目的とした情報コミュニケーション技術活用を進めた。本研究は、とりわけ会話をしたり食事をとったりといった日常の行動時に独りでいる状況を対象として、それらの共同機会を創出したり増加したりする仕組みを考案し、その実現性の検証も含めてシステムの開発と評価を行った。最終年度となる本年度はこれまでの内容の発展的研究を進め、また、さらに広い領域を対象とする萌芽的検討も進めた。食事時に会話をすることのニーズは大きい。特に離れ離れの家族にとって会話の機会は重要で、食事時は最もよいタイミングの一つである。時差があるとこのような会話は不可能だが、それらしい場を実現するだけでも価値がある。我々は、映像音声通信によって時差のある2地点間でこのような会話の場を創出する試みを進め、映像再生速度を調整するという手法を提案した。本年度はこの手法をソフトウェアにより自動化した。またこの場合の有効性を被験者実験により検討した。日常場面で母語の異なる者同士が会話する場面が増えているが、母語話者同士の会話と比較するとその敷居は高い。この敷居を低くすることは研究目的に適っているので、非母語話者が会話しやすくなるような手法について、検討を進めた。母語話者が会話中のキーワード等を即時的に文字で入力して、会話に参加している両者がそれを共有する手法について特に深く検討した。この手法は単純ではあるが、効果的であることがわかった。母語話者にとっては少々の負担であるが、非母語話者にとっては大きな助けとなり、会話の理解が進むことがわかった。また、機械翻訳技術よりも即時性が高く、この点でも会話の助けとなることがわかった。以上のとおり、「話す食べるという日常行動の共同機会を増やすシステムの開発と評価」の題目に沿って、情報コミュニケーション応用技術の開発研究を進め、当初予定以上の成果を得た。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件)
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