研究課題/領域番号 |
26330221
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00378233)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Human Agent Interaction / ロボット / 人 / 依頼 / 実験室実験 / 社会実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,人が擬人化エージェントや情報システムを介して他者とインタラクションする場合に,(1)操作者の意図をエージェントを使ってどのように表現するのか,(2)対話者は操作者の意図や考えをどの程度把握できるのか,を明らかにすることである。平成29年度は,(a) 情報システムを介したインタラクションに着目した実験と,(b) ロボットを目の前にした際の人の反応を調べる社会実験を実施した. (a) 情報システムを介したインタラクションに着目した実験 2者間で音の演奏ができるシステムを開発し,相手に意図を伝える誘発者と,意図を認知する認知者とが音を鳴らしてインタラクションをする実験を実施した.意図のあり/なしでの振舞いを比較するため,誘発者には自分の音だけが,認知者には互いの音が聞こえる意図なし条件と,どちらも互いの音が聞こえ,かつ誘発者に協力して演奏するようにと教示した意図あり条件を設定した.実験の結果,音の同調行動が多いほうが,認知者に人間的な印象をあたえ,また第三者が協力して演奏しているように感じることが明らかになった. (b) ロボットを目の前にした際の人の反応を調べる社会実験 社会的な空間における人とロボットの関わりを観察し,人とロボットがやり取りを行う上での障害となることは何かを検討した.人が近づいたり話しかけると反応する行動を実装したコミュニケーションロボット(pepper)を,ある企業内のカフェスペースに設置し,人との振舞いを観察した.実験の結果,pepperを認知し,近づいてくる人はいたが,pepperから話しかけられるとその場から離れてしまい,対話を続ける人はいなかった.この結果は,日常的な場面において,人はロボットを対話の対象として見ておらず,使用する目的がなければインタラクションが発生・継続することはないという可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度より,企業との共同研究でコミュニケーションロボットpepperを使用できることになり,研究計画の大幅な修正を行なった.元々の研究計画では,1年目に実験システムを開発し,2年目に予備実験と本実験を実施,3年目に実験データの分析と追加実験を行うという予定であった.本研究は平成26年度に採択されたが,途中産休育休による中断があり,平成29年度は3年目に対応している.ソフトウェアエージェントや情報システムを介した実験については,ほぼ予定どおりに進められていたが,コミュニケーションロボットについては,ロボットの選定や開発環境の整備が遅れ予定どおりに進められていなかった. そこで,平成29年はpepperの開発環境の整備や実験方法の検討および予備実験を行い,研究期間を1年延長して平成30年度にロボットを使った本実験を実施することとした.計画の変更を行なった結果,pepperに自動的な振舞いを実装することが可能となり,予備実験を実施することができた.しかしながら,WOZ法による実験を実施するためには,pepperに実装した振舞いを遠隔で人が操作できるようにする必要がある.この点について,現在複数の方法を検討している.遠隔操作の方法が確定すれば本実験を実施することができるため,研究の進捗としては「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,コミュニケーションロボットの遠隔操作による操作者と対話者のインタラクションの観察を行う.予備実験の結果から,人はロボットを対話対象としてみなさないとインタラクションそのものが発生しないことが明らかになった.また先行研究では,あえてロボットが目的の行為を上手く出来ないこと(不自由さ,弱さ)を表出することで,人の援助行動を引き出すことなどが明らかになっている.これらの先行研究などから,対話対象としてみなすためにはどんな振舞いが必要なのかを検討し,WOZ法をつかった遠隔操作による実験を実施する.また,同じことをロボットではなく人が行なった場合との比較を行い,人の場合とロボットによる場合とで,対話者の振舞いに違いがみられるのかを検討する. また,実験は,企業や大学などの休憩スペースを活用した社会実験で実施する.実験室実験の場合,参加者はそもそも実験課題として「ロボットと何かをしなくてはならない」と考えてしまうため,現実場面とギャップが生じる可能性がある.そのような問題を防ぐため,自然な状況での人とロボットおよび人と人の振舞いを観察する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、企業との共同研究により、コミュニケーションロボットpepperを使用した実験を行えることとなった。そこで全体の研究計画を見直し、昨年度は、pepperの開発環境の整備やプログラムの作成および予備的な検討を行い、今年度、それらの成果を踏まえた本実験の実施を行うこととした。そのため、研究延長申請を行い、今年度の実験に必要な予算として次年度使用額が生じることになった。 今年度は、昨年度整備した開発環境に加え、社会実験を行うために必要な機材を揃え、実験を実施する。また、実験データの分析や資料整理の人件費、および実験参加者の謝金として使用する。
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