研究実績の概要 |
本研究課題では,Shading Illusion技術を実用化するために,プロジェクタカメラ系の幾何学較正と光学較正を動的に実現する方法を明らかにすることを研究の目的としている.平成27年度以降には,「B1. DLP プロジェクタの投影シーケンスを用いた光学応答計測」と「B2. C2Pマップを用いた動的な光学較正」の実現,「B3. デモ機の試作と評価」を計画しており,平成28年度は主にB2とB3に取り組んだ. プロジェクタカメラフィードバック処理では,ピクセルマップと実際の画素対応にずれが発生しているとフィードバックが破綻して投影画像に波状の反応拡散波が発生する.B2では,この投影のずれによって発生する反射率推定の誤りを評価することでずれ量を推定し,閉ループ処理においてピクセルマップのずれを修正する動的な幾何学較正を実現した.また,無印刷状態の印刷媒体の白色と撮影画像の色彩との齟齬をオンライン処理により較正する方法,印刷媒体の蛍光成分を考慮したより高度な反射率推定手法についても提案した. B3については,Shading Illusion技術の応用として符号化印刷を用いた表情の変化する顔写真を提案した.また,DLP方式の小型プロジェクタと小型カメラを組み合わせたモバイルのプロジェクタカメラ系を試作し,この成果をSIGGRAPH ASIA 2016のE-Techにて展示した.その他には,富士通ソーシャルサイエンスラボラトリ他の協力により,日本橋三越本店に鎮座するまごころ像(1960年, 佐藤玄々作)への演出を行い,本研究に関連する研究成果の評価を行った.この様子は,日刊工業新聞,日本経済新聞,朝日新聞などの紙面やNIKKEI NET, 産経ニュース, 朝日新聞デジタル, 日本橋経済新聞などの50以上のニュースサイト,MXテレビなどで紹介された.
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