研究実績の概要 |
本研究の目的は,スマートフォンのみで脳波と視線を簡単に同時計測し,建物内の環境および知的生産性をオンライン評価するシステムを初めて構築する事であった。これらに対して我々はこれまでの研究で,脳波を用いてストレス,集中,眠気を検出する方法を既に提案していた。本研究はこれらの脳波から得られるストレス,集中,眠気を用いて知的生産性を定義すること,さらには建築空間内の環境においてリアルタイムでそれらを計測し,環境が知的生産性に与える影響を評価した。 脳波は電極を配置する部位が国際10-20法により定められている。申請者らはこれまでに,感情が出やすいとされている前頭葉FP1箇所に着目し,FP1のみを取得できる簡易型脳波計測器を独自に開発し,興味度推定システムや嗜好取得,触感の好み,音楽の好き嫌いなど五感から得られる情報をもとにそれらに対する嗜好の評価を行う方法を提案している。さらに著者らはすでに以前の研究で,持ち運び可能でiPhone上で脳波を保存するための脳波計およびアプリを制作しており,無線で脳波をサーバに転送できるシステムとなっている。また,iPhoneのカメラと脳波計測器を連動させ,厳密ではないが見ている大よその方向と脳波を同時に取得するシステムも独自に開発した。これら過去の研究の成果を用いて本研究では,脳波と視線追跡の同期を取りながら同時にスマートフォン上で取得し,興味・関心,集中,ストレス度を決定付ける因子を特定することができた。
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