研究課題/領域番号 |
26330233
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
武川 直樹 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (20366397)
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研究分担者 |
木村 敦 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (90462530)
大島 直樹 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (30732820)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会話ロボット / コミュニケーション支援 / ヒューマンコンピュータインタラクション |
研究実績の概要 |
H26年度は,(1)会話映像の収録:2人一組の食事を交えた共食会話を3セッション, 1人で食事をする孤食を6セッション映像に収め,分析映像コーパスを作成した.現在,食事動作,視線行動を記録し,さらに,顔の向き,表情,発話交替,会話内容の書き起こしを進めている.(2)会話開始・継続・修復モデル構築:人同士の2名会話における発話行動の表出の頻度に基づき,沈黙時の行動,修復モデルを構築した.(3)会話支援ロボットの開発評価:人の顔の向き,表情,ジェスチャーを認識し,またロボットの発話,仕草を生成して人同士の会話を支援するエージェントシステムの開発を進めた.その結果, 2015年度に開催されるIEEE Ro-Man2015,及びHCI2015にて採択された. 1.沈黙におけるロボットの適切な振舞い設計と評価 会話においては,気まずい沈黙が訪れると,人は「うーん」などのフィラーや髪や鼻を触ることで,沈黙の時間を埋める.こうした動作をロボットに実装し,人と同様の効果があるかを分析した.評価の結果,(1) 人とロボットの会話であっても,沈黙は気まずい印象を与えること,(2) ロボットがフィラーを表出すると次発話を開始しようとしていると感じられること,(3) ロボットのフィラー表出は会話継続に対する誠意を伝えること,が明らかになった.ロボットであってもフィラーを表出すると,より自然な会話修復・継続に役立つことが示唆された. 2.人の援助行動を引き出す弱いロボットの設計と実装 多人数会話においてコミュニケーションを不得意とする人を支援する発話介在ロボットをデザインした.ロボットが黙っている参与者の回りで動く健気な振舞に対し,他の参与者らが,黙っている参与者を注目するようになり,結果的に会話を苦手とするユーザからも発話を引き出し,発話権が均等に配分されるようになることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度について計画の目標としていた分析映像コーパスの作成,トランスクリプト,会話支援ロボットのプロトタイプ作成が達成され,計画通りに進捗している.具体的には,上記の成果に加え, 1.共食会話の分析について,共食の発話内容を書き起こし,コミュニケーションの有無が影響する食事中の人の行動を分析した.分析の結果は電子情報通信学会HCS5月研究会にて発表予定である. 2.人とロボットの会話評価については電子情報通信学会HCGシンポジウム2014にて2件発表した.うち一件の大島論文がオーガナイズドセッション賞,優秀インタラクティブ発表賞を受賞した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに収録した会話コーパスを継続分析し,会話モデルの改善を図る.分析データ量を増やすことにより,多様な動作の組み合わせのインタラクションモデル構築を達成する.今年度は個別の要素技術として検討を進めた人の視線,顔の向き,姿勢,発話の有無を認識する機能を会話ロボットに搭載し,会話動作を表出する機能と合わせてロボットと人の間の会話実験を行う.会話実験の結果を映像に収録して,さらに人の会話の分析と同様に発話,行動を書き起こして評価し,モデルの改良を図る.会話映像のトランスクリプト,データの整理のため熟練者を雇用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
主に旅費として計上していた使用額を次年度に繰り越した.これは研究成果として投稿していた論文が次年度開催予定の国際会議に採択された結果を受け,出席のための旅費に充当することとした.
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り,旅費に使用する.
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