平成28年度は、前年度までの成果を踏まえ、音声とマルチタッチによる新しいマニピュレータの操作インタフェースを開発し、評価した。その結果、新しいインタフェースは、操作方法が覚えやすく、7自由度マニピュレータの容易な操作を可能にするものであることが明らかになった。さらに、前年度評価したインタフェースや市販のキーパッド式インタフェースよりも少ない入力回数で作業が行えること、より幅広い作業が行えることも確認できた。考案した入力方式によるマニピュレータを用いた作業に要する時間は、初心者、熟練者ともキーパッド式インタフェースと同程度であると考えられる。以上の結果から、音声とマルチタッチを用いた、操作者の認知負荷および物理負荷が低く習得しやすいマニピュレータ操作の入力方式を明らかにすることができた。また、本年度までの評価で得られたデータと映像から、これまでに考案した入力方式の問題点も明確になった。認知負荷の面では、操作モードの切替えとグリッパの回転操作が操作者にとって負担になる場合がある。したがって、一つの操作モードで可能な操作を増やし、より直感的な回転操作の方法を追加することが重要である。作業効率の面では、初心者のジェスチャ入力回数が多いこと、マニピュレータの動作速度を制御しづらいこと、グリッパの回転・移動・開閉の操作を同時に行えないことが問題である。これらを考慮した新しい入力方式の考案も重要課題である。
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