研究課題/領域番号 |
26330237
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
田村 祐一 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (50311212)
|
研究分担者 |
梅谷 智弘 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (10397630)
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
久米 健次 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (10107344)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 代替現実感 / バーチャルリアリティ / 訓練システム |
研究実績の概要 |
本年度は,主に移動を伴う訓練システムの基礎検討を行った.具体的には,対象を高齢者にしぼり,バーチャル環境を移動することで,自身の身体の状態を客観的に認識してもらうことを可能とするシステムの構築に関する研究を推し進めた.本年度構築したシステムは,特に高齢者の足首の角度に着目し,移動時の足の運びについてリアルタイム計測し,被験者にフィードバック可能なシステムを構築した.これは高齢者は家庭内での転倒に起因する骨折や死亡事故が少なくないという警察庁の統計がある.そこで,自身の身体状態をリアルタイムで把握することで,転倒事故を減らすことを可能とする訓練システムの構築を行うことを考えた. 本システムは,Viconセンサーを複数使用したモーションキャプチャシステムから構成されている.被験者は足に複数のマーカーが付けられたシューズを装着し,バーチャル空間内にコンピュータグラフィックスを使って構築された家庭環境を歩行してもらった.また歩行結果を被験者にリアルタイム可視化可能なシステムも構築した.一方で,バーチャル環境での実験の妥当性を確認するためにコンピュータグラフィックスで作られたものと同じ環境を実空間でも構築した.実験の結果,バーチャル空間とリアル空間で足の運び,特に足を上げる高さに若干の違いが生じた.昨年度の実験では,バーチャル空間は摩擦の少ない床,リアル空間はカーペットと実験環境に違いがあったため,足の運びの違いが床材に起因するものなのか,もしくは立体映像を上から見たことによる影響なのか切り分ける研究を行うとともに,実映像を使った訓練空間も構築し,併せて評価していく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動環境における訓練システムに関する研究をのぞき,本研究の当初予定をほぼ終了しているため.
|
今後の研究の推進方策 |
移動環境を伴う訓練システムについて,直線かつ移動しながらの環境を代替現実感システムで作成することの意義,および効果的な環境を見つけ出すことが難しい状況にある.したがって,対象を高齢者にしぼり,バーチャル環境を移動することで,自身の身体の状態を客観的に認識してもらうことを可能とするシステムの構築を引き続き進める.最終的には本システムを利用することで,足の運びや体を情報をスマートフォンのような携帯端末に自動的に保存し,保存された情報を振りあえることのできるようなデータベースの構築,可視化手法の構築を行うことを目的とする.ただし,本課題を今年度のみで行うことは難しいため,本研究課題の当初予定に含まれていないデータベースや携帯端末での利用については,次期研究課題に継続して実施していく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
差額5万円強であり,価格変動等を考慮すると,ほぼ当初予定通り執行されているものと考えています.
|
次年度使用額の使用計画 |
計画予算とほぼ同じであるため,計画当初通りの執行を予定しています.
|