研究課題
本研究課題では,形式概念分析やグラフ理論に基づくクラスタ抽出技術を基礎として,楽曲の多様な解釈を行なうための基盤技術開発を試みる.今年度の主な成果は次の通りである.多段多数決によるクラス分類手法の開発:クラスラベルが未知のクエリオブジェクトのクラスを予測するクラス分類問題のための伝統的な手法である k-近傍法の改良手法を開発した.近傍パラメータ k が分類の予測結果に及ぼす直接的な影響を緩和するために,クエリの近傍オブジェクトに付与された元のクラスラベルを,その周辺の隣接構造から定まる仮説ラベルと比較し,両者が一致しない場合は,元のラベルを仮説ラベルに修正した後,多数決によってクエリが属するクラスを予測する.その結果,パラメータ設定の違いや近傍の例外的なラベルに影響されない安定した予測結果を得ることが期待できる.クラスラベルを反映した次元圧縮に基づく分類手法の開発:高次元ベクトルで表現された対象群のクラスラベル情報を反映した次元圧縮により得られる低次元基底ベクトル空間において,クラスが未知の対象を近似表現することで,対象のクラスラベルを予測する手法を開発した.こうしたクラス分類に有用な次元圧縮を,マスク制約付き非負値行列因子分解の枠組みを基礎に実現することを試みた.マスク制約は,次元圧縮により得られる各基底ベクトル(部品)の構造を明示的に定めるものであり,元の高次元空間で観測される各クラスにおける属性間の共起関係をマスクに反映させることで,それぞれのクラスに関連した部品群を得ることが可能となる.対象は,それら部品群の非負重みによる線形和で近似されることから,近似表現におけるクラス毎の部品重みを観察することで,対象が属するクラスを予測することが可能となる.特に,多重分類も実現できることから,対象の多観点分析において有用なツールとなることが期待できる.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Data Science and Analytics
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Proceedings of the 20th Pacific Asia Conference on Knowledge Discovery and Data Mining - PAKDD 2016 (Part I)
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Proceedings of the 12th International Conference on Machine Learning and Data Mining - MLDM 2016
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