本研究では3年の研究期間を四期に分け,質的時系列に位置情報を加えた「プロセス-動態データマイニング法」の開発に取り組んでいる。第一期(平成26年6月~9月)から第二期(平成26年10月~平成27年9月)の中盤にあたる本年度は,外来診療のオーダ情報,受付情報,検査/処置等の実施情報,発生源(検査機器や入力端末等)の識別情報及び位置情報を病院情報システムから抽出し,位置情報を伴う質的診療プロセス時系列のテストデータを構築,その頻度情報をもとに,来院から会計へ至るまでに多数例が辿る外来診療プロセス,検査/診察など診療行為の順序分布等について基礎的分析を行った。対象が3,000例程度と少数であり,また,システムに記録されるデータの発生源と時刻は必ずしも患者さんの所在とは一致しないため今後検討を深めることが必要であるが,受付-診察-支払い,もしくは診察中に処置を含むプロセスが計35%程度と最も多いこと,また,診察前に検体検査もしくは放射線撮影を行うプロセスが計17%程度あり,時間・位置情報から外来受付開始直後にまず検査部門が混雑のピークを迎え,しばらくして診察部門へピークが移動することなどの知見を得た。これらの結果について,米国電気電子学会「システム・人・サイバネティクスに関する国際会議」及び同「データマイニングに関する国際会議」併設ワークショップ「Workshop on Data Mining for Service」で発表した。
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