研究課題
統合物語生成システムは全体として既に稼働しているシステムである.これまで,(1) 統合物語生成システム全体に渡る生成制御の枠組みの考案と実装(基幹コンセプト「循環制御」及び「流動‐固定」と関連),(2) プロップ民話理論を書き換えた物語内容(ストーリー)の事象利用・獲得ツール開発,(3) 実際の物語コーパスからのモチーフ(基本的に単一事象)及び事象連鎖の自動獲得に関するツール開発と実験,(4) 名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞の各概念辞書の構造再検討及び開発(継続),(5) 固有名詞概念辞書の開発とWikipediaからの自動獲得手法の案出,(6) 概念辞書の個々の項目毎に定義された言語表記辞書の使用確定と開発(継続),(7) オープン協創環境の構築と受容実験と社会的流通へのシステム基盤(=芸能情報システム)の基礎的検討,(8) 概念及び語彙の選択に当っての統計情報(頻度や共起)の利用,(9) 二種の応用システムの改定案の策定(基幹コンセプト「流動-固定」と関連),(10) コンピュータゲームへの応用システムの提案と開発,(11)上記のための物語分析特に歌舞伎や人形浄瑠璃の物語の調査・分析に着手,等の具体的作業を行った.申請書中に,「研究の窮極の目標が手法自体ではなくあくまで物語生成システムという一つの全体としてのプログラムの開発と利用にあり,核となる手法も全体としての有機的な動きの中で確認される必要がある.」と書いたが,本研究の遂行はこの原則に基づき,如何なるレベルの新規開発や改訂もすべての全体の中での稼働実験において動作の有効性を検証する,という基本方針を堅持している.これは,一つのパッケージとして応用システムや実世界展開システムになり得る,本システムの意義・重要性の核心である.
2: おおむね順調に進展している
1.統合物語生成システム:(1) 生成制御:物語生成過程を聴き手の期待への語り手の応答によりモデル化,その関係により物語言説技法選択ルールを制御,物語生成を反復する仕組みをシステム全体に拡張する枠組みを定め,システムを使って100人以上を対象に生成・受容実験を行った.(2) 物語内容の構造生成:民話理論導入を継続,自動・手動合せた事象利用・獲得ツールを開発した.実際の物語コーパスからのモチーフ及び事象連鎖の自動獲得法に関する実験も行った.獲得知識は物語コンテンツ知識ベースに格納される.事象連鎖半自動獲得ツールを開発,ユーザからスクリプト的知識を獲得・格納した.(3) 概念辞書:名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞の概念辞書の構築に一段落付けた.固有名詞概念辞書についてはWikipediaからの自動獲得手法を案出・実験中.(4) 物語言説の構造生成:文学理論による方法の拡張枠組みを考案,実装は次年度を予定.(5) 自然言語表現:概念辞書の項目毎に定義された表記辞書開発の仕様をほぼ確定,開発をほぼ終了.事象文に伴う描写及び説明文生成機構構築中.(6) 音楽表現:開発は停止中.(7) 映像表現:ユーザインタフェースの改訂を行い,生成途中の物語群を種々の詳細化レベルによりユーザが操作可能なツール開発を行ったが,アニメーション生成の精緻化には達していない(アニメーションの精緻化は本研究の範囲から除外することにした).2.応用システム:(1) KOSERUBE:中学生向けデモ等により特に文章生成の直近の課題を明らかにし改訂案を案出,さらに小規模なシステム拡張を行った.(2) 物語の森:学生へのデモ等を行い,第一版からの抜本的な改訂の設計を行った(構築は未進捗).(3) 新たな応用として,コンピュータゲームに以上のシステムの機能を適用,自動生成機能を備えたゲームシステムの開発を進めている.
従来に引き続き,二つの大項目に分けて研究を進める.1の項目は,サブ項目完成時点で,あるいは方式確定時点で,統合システムとの統合実験を随時行いながら進める1.統合物語生成システム:(1) 生成制御:システム全体に渡る一貫した生成制御方式の考案と実装実験を行う.さらに,ランダム生成を試み,ここから目標の付与等により自動的に物語生成能力が向上する機構への展開を図る.(2) 物語内容の構造生成:実際の物語コーパスからのモチーフ(基本的に単一事象)及び事象連鎖の自動獲得の実験を継続,獲得知識の物語コンテンツ知識ベースへの格納を行う.また,獲得された知識構造を例として別の物語を生成する機能を追加予定.(3) 概念辞書:名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞の各概念辞書の改訂実装と新規開発をほぼ終了し,また固有名詞概念辞書対象のWikipediaからの知識自動獲得の部分的実装を行う.(4) 物語言説の構造生成:物語言説全体をカバーする技法群の暫定的確定と実験的実装を行う(関連する文学理論のより進んだ調査も併せて行う).(5) 自然言語表現:言語表記辞書開発の完成と文生成の質向上のための実験的実装を行う.特に,描写文や説明文のための属性情報を名詞概念辞書等に格納する作業を進めることが重要な課題となる.(6) 音楽表現:循環制御との関わりでの改訂に着手する.(7) 映像表現:ユーザインタフェースツールの開発継続.映像生成については,当面は簡易な象徴的表現を模索する.(7)流通・受容への架橋.2.応用システム:(1) KOSERUBE:特に文章生成の質的向上を反映,改訂版開発を継続する.(2) 物語の森:第一版からの抜本的な改訂の設計に基づく改訂版構築に着手する.(3) 物語生成に基づくコンピュータゲームの開発.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 9件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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