研究実績の概要 |
報酬獲得のための行動決定を調べるために、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題をサルに訓練した。この課題では最初に、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題を行う。この課題では、3段階の報酬量(水1,2,4滴)と3段階の仕事量(視覚弁別課題を1,2,4試行成功すれば報酬がもらえる)を示唆する9種類の選択肢から2つをサルに提示する。選択肢の明るさがもらえる報酬量を表し、長さが報酬をもらえるまでに必要な試行数を表す。モンキーチェアには、3本のバーが中央と左右に付着されている。サルが、中央のバーを握れば課題が始まり、始めに一つの選択肢が画面の中央に表示される。その後に、もう一つの選択肢が画面の中央に表示される。その後に、表示された2つの選択肢が画面の左右どちらかの場所にランダムに同時に表示される。サルが、左右のバーのいずれかを握れば、対応する選択肢が選ばれ、選ばれた選択肢のみが表示される。行動決定課題終了後に、実際にサルが選んだ選択肢が示す視覚弁別課題を行う。視覚弁別課題では、サルが中央のバーを握れば、画面の中央に注視点が表示され、その後に、赤点が表示され、緑に変われば、サルは1秒以内にバーを話すように訓練されている。本年度は、行動決定課題遂行時に、脳の眼窩前頭皮質から記録された単一ニューロン活動がコードする情報の経時変化について調べた。昨年度の結果より、記録されたニューロンは初めに提示された選択肢と次に提示された選択肢に対する応答の組み合わせにより、主に3種類に分類された。これらのニューロンの経時変化を調べた結果、3種類すべてのニューロンに関して、サルが実際に選択をおこなう期間では、初めに提示された選択肢と次に提示された選択肢の両方の情報を足し合わせたような情報をコードすることが分かった。
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