自分選択による意思決定は、たとえ労力が多い価値判断であっても、決めたことを実行するが、他者選択によって決められたものは、嫌がることが多い。本研究では、そのような自己選択による意思決定にいたるまでの脳活動を可視化し、その情報を解読することを目的とする。 報酬獲得のための行動決定を調べるために、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題を2匹のサルにトレーニングした。この課題では、最初に、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題を行う。まず、3段階の報酬量と3段階の仕事量を示唆する9種類の選択肢から2つをサルに提示する。選択肢の明るさがもらえる報酬量を表し、長さが報酬をもらえるまでに必要な試行数を表す。サルがチェアーの中央のバーを握れば課題が始まり、初めに一つの選択肢が画面の中央に表示される。その後に、もう一つの選択肢が画面の中央に表示される。さらにその後に、表示された2つの選択肢が画面の左右どちらかの場所にランダムに同時に表示される。サルが左右のバーのいずれかを握れば、対応する選択肢が選ばれ、選ばれた選択肢のみが表示される。行動決定課題終了後に、実際にサルが選んだ選択肢が示す視覚弁別課題を行う。 行動決定課題実施中に、眼窩前頭皮質から記録されたニューロンは始めに提示された選択肢と次に提示された選択肢に対する応答の組み合わせによって3種類に分類された。行動決定課題のサルが実際に選択する期間では、最初に提示された選択肢と次に提示された選択肢の両方の情報を足した情報をコードすることが分かった。ニューロン活動を記録した脳部位をムシモルにより一時的に不活性にした結果、行動決定課題遂行時のサルの誤答率および選択の反応時間が増大した。最終年度では、GLMを用いてそれぞれのニューロン活動から選択を予測できるか調べ、30%のニューロンが正しく予測できた。
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