研究実績の概要 |
最終度は基礎研究で得られた知見を基に応用研究に着手した.まず多目的及び動的環境を同時に考慮したナース・リスケジューリング問題に関する研究に取り組んだ.ナース・スケジューリング問題とは,看護師,勤務日,シフト等の集合に対して,与えられた制約条件を満たすように勤務シフトを編成する組合せ最適化問題である.ナース・リスケジューリング問題とは,看護師の急な欠勤により,既存の勤務シフトを再編成する動的なナース・スケジューリング問題である.本研究では,修正後の勤務シフトに対する最適性及び安定性を同時に考慮した多目的ナース・リスケジューリング問題を定式化し,新しい解の評価基準として,勤務割当変更に対する看護師間の平等性を定義した.また,時間割作成問題にも着手し,複数の評価基準を同時に考慮した時間割作成問題に着手した.これらの研究成果は,国際会議 the 11th International Conference on the Practice and Theory of Automated Timetabling (PATAT-2016)や,国際ジャーナル論文 Springer (Multi-agent and Complex Systems)に論文が採録された. 本応募研究では,多目的及び動的環境を同時に考慮した最適化問題における基礎・応用研究を実施した.本研究成果はマルチエージェントシステムに関する最難関国際会議(AAMAS)をはじめ,人工知能分野における最も権威のある国際会議(IJCAI)等に論文が採録されており,本研究の意義及び重要性は非常に高い.また基礎研究だけではなく,応用研究にも着手しており,本研究成果により, より現実的な最適化問題の定式化が可能となり,人工知能・計算機科学をはじめ,経済学や生物学等の様々な方面へ展開できる可能性があると考える.
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