研究課題/領域番号 |
26330272
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小野 功 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00304551)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大域的多峰性 / 多数目的性 / 進化計算手法 / 有望個体囲い込み法 / niching / PF-XC / AWA-ER |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,大域的多峰性,多数目的性を有する問題において良質な近似解の発見を可能とする新たな探索アルゴリズムを提案することである.本年度の主な研究成果は以下のようにまとめられる. 1. 大域的多峰性空間における良質な近似解の探索の観点から,以下の研究1~4に取り組んだ.研究1では,非明示制約と有望領域の非凸性に対処した新たな有望領域囲い込み法を提案した.研究2では,自然進化戦略のための大域的多峰性関数における複数有力解の探索の新たなniching手法を提案した.研究3では,TSPにおいて,大域的多峰性に起因すると考えられる探索の困難さに対処するため,GA-EAXのための新たな探索ステージ切換条件とマルチスタート戦略を提案した.研究4では,動的システムの状態推定問題を対象とした初期検討として,交叉REXに基づく新たな粒子フィルタPF-ICおよびPF-XCの提案を行った.研究1~4のいずれにおいても,数値実験により,提案手法がそれぞれにおける最も有力な既存手法の性能を凌駕することを確認した.特に,研究1では,困難な実問題として知られるレンズ系設計問題において提案手法の有効性を確認した. 2. 多数目的問題における良質な近似解集合の探索の観点から,以下の研究5, 6に取り組んだ.研究5では,最も強力な既存手法の一つであるAWAの収束性を向上させたAWA-SSCWAおよびAWA-SSCWAの改良版であるAWA-ERを提案した.数値実験により,AWA-ERがAWAよりも良質な近似解集合を得られることを確認した.研究6では,多数目的問題において多目的進化アルゴリズム(MOEAs)により求められた近似解集合の精度を改善するための新たな局所探索法を提案した.数値実験により,提案手法が,最も強力なMOEAの1つであるNSGA3により求められた近似解集合の精度を改善できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,大域的多峰性空間における良質な近似解探索の観点から,非明示制約と有望領域の非凸性に対処した新たな有望領域囲い込み法,および,自然進化戦略のための大域的多峰性関数における複数有力解の探索の新たなniching手法を提案し,数値実験によりそれぞれの有効性を確認できた.また,多数目的問題における良質な近似解集合探索の観点から,最も強力な既存手法の一つであるAWAの収束性を向上させたAWA-ER,および,修正チェビシェフノルム法に基づく局所探索法を提案し,数値実験によりそれぞれの有効性を確認できた.以上より,当初の目的を達成できたと考えている.さらにこれに加えて,TSPにおいて大域的多峰性に起因すると考えられる探索の困難さに対処するため,GA-EAXのための探索ステージ切換条件とマルチスタート戦略を提案して数値実験によりその有効性を確認できた点,動的システムの状態推定問題を対象とした初期検討としてPF-ICとPF-XCを提案して数値実験によりその有効性を確認できた点を考慮して,当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,大域的多峰性空間における各大谷内の探索,および,多数目的問題においてスカラー化された目的関数の探索において性能劣化の原因となっている陵構造に対処した新たな探索アルゴリズムを提案し,その有効性を数値実験により確認する予定である.また,平成26年度において初期検討を行ったPF-XCをさらに発展させて,より高次元の問題においても精度よく推定が行えるような手法を提案し,数値実験によりその有効性を確認する予定である.さらに,GA-EAXのための探索ステージ切換条件とマルチスタート戦略に関する研究成果を学術論文として投稿する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に投稿した学術論文が年度内に掲載されなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
学術論文の掲載料および別刷り料に充てる予定である.
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