研究課題/領域番号 |
26330273
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
西野 順二 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00281030)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ファジィシステム / 多次元ファジィ集合 / 多変数システム |
研究実績の概要 |
以下に掲げる、1)原理の探求と2)応用について開発および実験、研究を行った。
1)原理の探求においてはタブレットコンピュータによる多次元ファジィ集合の入力システムの基礎開発として、2次元ファジィ集合入力支援システムの構築を主として行ない、さらに多次元の集合入力支援について検討を行ない、その結果をファジィシステムシンポジウムおよび国際会議 IEEE GrC で発表を行なった。 2)応用の対象として10次元程度の多次元ファジィ集合をもちいた具体的な多変数問題の解決シミュレーション実験を行なった。従来行なってきたヒューマノイドロボットの行動計画と、人がもつあいまいな領域概念「このへん」を指示することで「このような状態のとき」は「こうする」という意思決定支援システムへの応用を行ない、東海ファジィ研究会で発表を行なった。 さらに多次元ファジィによる制御が有効となる対象として高速四輪ロボットと、戦略ゲームの思考AIへの応用に着目し、それぞれ検討と開発を行なった。高速四輪ロボットでは基礎的な実験によって、多次元のセンサ情報を融合的かつ高速に処理する必要があり、本研究の技術である多次元ファジィ集合の優位性を見いだしつつある。戦略ゲームへの応用については東海ファジィ研究会で発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度の研究計画で掲げた、1)原理の探求と2)応用について開発および実験、研究を行った結果以下の成果を得た。 1)原理の探求においてはタブレットコンピュータによる多次元ファジィ集合の入力システムの基礎開発として、2次元ファジィ集合入力支援システムの構築を主として行ない、さらに多次元の集合入力支援について検討を行ない、その結果をファジィシステムシンポジウムおよび国際会議 IEEE GrC で発表を行なった。 2)応用の対象として10次元程度の多次元ファジィ集合をもちいた具体的な多変数問題の解決シミュレーション実験を行なった。従来行なってきたヒューマノイドロボットの行動計画と、人がもつあいまいな領域概念「このへん」を指示することで「このような状態のとき」は「こうする」という意思決定支援システムへの応用を行ない、東海ファジィ研究会で発表を行なった。 さらに多次元ファジィによる制御が有効となる対象として高速四輪ロボットと、戦略ゲームの思考AIへの応用に着目し、それぞれ検討と開発を行なった。高速四輪ロボットでは基礎的な実験によって、多次元のセンサ情報を融合的かつ高速に処理する必要があり、本研究の技術である多次元ファジィ集合の優位性を見いだしつつある。戦略ゲームへの応用については東海ファジィ研究会で発表をおこなった。 以上のように当初予定に加え、より広範な対象への応用の糸口も掴む事ができ、総合的におおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は26年度の結果をふまえて3次元以上の多次元ファジィ集合入力システムについて、具体的な応用実験を行ないながら以下の二つの観点から研究を進める。 1) 3次元以上のファジィ集合の直感的表示方法と入力の検討。3次元以上のファジィ集合やシステムパラメータは、そもそも直感的に理解することが難しいという問題がある。また、タブレットコンピュータは、従来のディスプレイと分離したマウスの組み合わせによる入力とくらべ、入力中のデータに直接触れる感覚をもてる特徴があるが、これは2次元に制約される。タッチインタフェースによる3次元モデリングシステムについての先行研究の手法を援用することで、より多次元の入力と提示方法について検討する。とくにCG関連技術として3次元空間に埋め込まれた2次元閉多様体までは様々な先行技法があるのでこれを調査評価するとともに、とくに4次元以上のファジィ集合表現、編集技術を検討する。 2) 多次元ファジィ集合にもとづく多変数システム処理の評価。各種の多次元パラメータロボットや戦略ゲームなどを対象に、多次元ファジィ意思決定システムを構築し、これを用いて、所望の処理が実現できることを示し、一般の多次元システムの制御や情報処理に応用する上での課題について検討する。上記1で検討した入力システムにより、データの収集から多次元ファジィ集合化、その蓄積と処理、さらに実際の問題解決を通じて、多次元ファジィ集合とタブレットコンピュータを用いた多次元ファジィ集合入力システムの有用性について他の既存手法と比較しつつ研究を進める。 成果については国内外の会議や論文投稿によって公表をはかる。インタラクティブな提示表現の模索が中心となり、そのための処理計算機と被験者による官能評価謝礼等が必要となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に購入計画していたタブレットおよびコンピュータの価格低下と、タブレット開発について予定していたプログラム作成が順調でありこのための謝金の使用が減ったため、これらにあてた予算を次年度に繰り越して有効利用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度において、高度なタブレット用実験システムのさらなる開発ではプログラミング補助を依頼してより効率的な研究を推進する。繰り越し分はこれに充てる予定である。
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