昨年度は,これまで提案してきた適応度景観推定手法に機械学習を導入した適応度景観推定型進化型計算(Fitness Landscape Learning Evolutionary Computation: FLLEC)と深層学習を融合し,実問題への適用を中心に研究を進めた. 提案中である深層学習と進化型計算を融合した進化型深層学習(Evolutionary Deep Learning: evoDL)について,4コマ漫画におけるストーリー理解を中心に,人工知能による人の創作物理解について,提案手法の適用を試みた.その結果 evoDL による優れた深層畳み込みニューラルネットワークの構造を獲得し,部分的に人の感性に近い人工知能の進化的獲得に成功した. また,深層学習とは別の機械学習手法として提案した,遺伝的プログラミングを応用するために多層個体群を有する遺伝的プログラミング(Genetic Programming with Multi-Layered Population Structure: MLPS-GP)について論文を発表し,進化計算学会論文賞を受賞した.その後,MLPS-GP のノードに機械学習を利用した新しい GP の枠組みを開発した.具体的な実環境への応用例として,株式取引の戦略獲得に関して有効であることを示し,本年度は新たに深層強化学習との融合について検討した.また,Variational AutoEncoder (VAE) に着目し,最適なセグメント長を進化的に最適化する手法により音楽を自動生成する手法を提案した.既存の絵本からオブジェクト位置とストーリー展開を学習し,オブジェクトの場所とストーリー展開を予測する人工知能を考案し,人工知能による人の創作物理解の可能性を示した.全体を通じて,機械学習と進化型計算の融合によって優れた人工知能の構築が可能であることがわかった.
|