本研究は、高次元ニューラルネットによる逆問題解法についての枠組みを構築し、さらに実際の工学的問題への展開によって有効性を実証することを目的として進めてきた。 最終年度は、高次元ニューラルネットの応用の1つとして研究を続けてきた生体信号による3次元姿勢の推定の問題について、表面筋電位センサだけでなくモーションセンサによるデータ計測に拡張して実験を行った。四元数ニューラルネットの効果を比較実験で示し、これらの結果を研究会および国際会議で発表した。また別の応用として、複素ニューラルネットによる移動ロボットの軌道計画問題に取り組み計算機シミュレーションで効果を示した。実数型ニューラルネットに対する複素ニューラルネットの効果を示し、この結果を国際会議で発表した。さらに関連研究として、アーチェリーの引弓動作と射的結果の関係を、深層学習ニューラルネットで学習・推定することを検討した。引弓動作を2チャンネル筋電波形として計測し、自己符号化器による深層学習ニューラルネットを用いたシミュレーションで効果を示し、この結果を国内学会の大会で発表した。 研究期間を通じて、高次元ニューラルネットの基礎検討により有効性を示し、さらにロボットアーム逆運動学問題、生体信号による姿勢推定問題、移動ロボットの軌道計画問題、生体信号によるスポーツ動作の評価などの応用研究への適用可能性を示した。研究期間は終了するが、研究期間を通じて得られた成果や知見をもとに、さらに研究を進展させることを予定している。また、現在投稿中または投稿準備中の論文を含めて、研究期間中に得られた成果について研究発表を進めていく予定である。
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