研究課題/領域番号 |
26330300
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
米田 完 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70221679)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 4足歩行 / 全方向移動 / 原子力発電所用 |
研究実績の概要 |
高い段差に対応するため、4足歩行ロボットの脚が広範囲に上下できる構造として、前脚の根元が胴体後部に、後脚の根元が胴体前部にあり、横から見ると脚がクロスして見えるような新たな機構を提案した。これを実現するため、U字型の胴体の中央部を後脚が突き抜ける構造とすることとし、縮小版の簡易な第0次試作機を製作した。シミュレーションおよび第0次試作機により、目標とする700mmの段差乗り越えを可能にする脚の節長、胴体の前後長などを設計した。 実物大の第1次試作機を作成した。脚寸法は第1節、第2節ともに約600mmである。試作機はU字型胴体に筋交いを入れてねじれ剛性を確保し、脚関節の支持間隔を広く取って横方向へのたわみを減らすなどの工夫をした。実験を行い、目標である700mmの段差に登ることができた。これにより、本研究で提案する新たなクロス型の脚構造の有効性が実証できた。ただし、試作機は短期間で製作できるよう、アクチュエータには直動エアシリンダを用いて、空気を遮蔽することによる中間位置固定のみを行う制御法とした。また空圧バルブのON/OFFはすべて個別に手動操作で行った。このため、位置決め特性が悪く、段差を登るには5分ほどの長時間の試行が必要である。 つづいて、モータ駆動のメカナムホイールを各脚に2個ずつ装着した。平坦地における4脚接地状態(8輪駆動)で、全方向移動(旋回を含む)がスムーズにできることを確認した。また、脚運動と連動して1脚のみをホイールを回転させながら接地したままで前後させる動作も良好に行えた。段差昇降時にメカナムホイールを用いることで、脚のみより少ない歩数で進めることが期待されるが、その実験はまだ実施していない。また、メカナムホイールの制御はすべて個別のON/OFFを手動で行うもので、自動化はできていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに提案する脚機構について、第0次試作機およびシミュレーションにより実機の寸法設計を行った。実物大の第1次試作機を製作し、提案する第1のコンセプトであるクロス型脚の構造が妥当であり、目標の段差昇降が可能であることを確認した。 提案する第2のコンセプトである脚とメカナムホイールのハイブリッド駆動が有効であることを試すため、第1次試作機にメカナムホイールを装着し、段差昇降時に使用する実験の準備ができた。以上のように、当初の計画にほぼ沿った検討の実施、試作機の開発が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
第1次試作機を用いて、メカナムホイールを併用した段差昇降実験を行い、歩数の少ない効率的な昇降が可能であることを確認する。また、メカナムホイールによる移動で脚を接地させたまま脚先を動かすことで、静的な安定余裕をより大きくする歩き方が可能であると予想される。これについて理論的な検討、シミュレーションによる検討、試作機の実験による検討を行う。 現状の試作機は簡易試作のためにエアシリンダを使用しているため、位置決め特性が悪い。エアシリンダに代わる電動の直動駆動装置を製作し、置き換えを行う。直動駆動装置はモータでねじを回してナット部の推進をロッドの出入りとして外部に伝達する機構である。 メカナムホイールを併用して横方向への移動および旋回を行う際には、脚部に横方向の力が加わる。第1次試作機は脚の横剛性が高くないため、たわみが生じ移動がスムーズでない。これを踏まえて、剛性の高い、次期試作機の設計を行う。さらに、現在すべてのアクチュエータを個別に手動操作している状態であるが、これらの制御を半自動化し、脚先速度の指示および胴体速度と角速度の指示から各アクチュエータの速度指令値を生成して駆動回路に信号を送る方法の半自動運転ができるように、コンピュータを用いた制御装置を開発する。 以上のように第1次試作機を改良して、実験と検討を進めるほか、より剛性を高めた胴体と脚を再設計し、実用性を高めた第2次試作機の開発を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の合計金額が予算額に対して端数の差があり、余剰が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度交付額と合計して次年度用物品の購入に充当する。
|