研究課題/領域番号 |
26330319
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
三嶋 博之 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生態心理学 / 光学的流動 / 自動車運転行動 |
研究実績の概要 |
自動車運転者の視線運動はその運転技能によって異なり、一般に初心者ドライバーでは近方を、熟練ドライバーではより遠方を見る傾向があることが知られている(Mourant and Rockwell, 1972)。一方、運転技能が異なれば操作される車両の挙動も異なったものとなり、結果として、運転者の眼前に生成・提示され、また、運転者によって知覚されることとなる外界の景色の流動(「光学的流動」) も、運転者の技能に応じて異なったものとなると予想される。本研究では、運転者の視線運動が、(1)運転者の運転技能が車両挙動に与える影響、および、(2)車両挙動が光学的流動に与える影響、の相互作用の下にあるとの仮説に立ち、「車両挙動-生成される光学的流動-視線運動」の三者間の関係について、定量的なモデルを提案することを目指している。 上記の目的を達成するため、本研究では、(1)運転技量によって異なる車両挙動の違いを実車走行データとして取得する段階、(2)前段階で取得した実車走行データを元にして、走行時に生じる「光学的流動」を計算機上に再構成した映像(ドットピクチャによって抽象的に表現された光学的流動)を作成する段階、(3)その映像を大学生の実験協力者に提示し、視線がどのように誘導されるのかをアイカメラにて計測・評価する段階という3つの段階を経た研究を実施するが、平成27年度においては、昨年度に引き続き、熟練ドライバー(自動車会社の評価ドライバーに相当)および一般ドライバー(大学生および社会人)を対象とした周回走行時の車両挙動データ(3 軸加速度、3 軸角速度、GPS による緯度・経度・高度)、および走行時の景色の動画データを取得するとともに、取得した映像データを非運転者に事後的に提示した際の注視行動の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
取得した実車走行データを元に、走行時に生じる「光学的流動」を計算機上に再構成した映像(ドットピクチャによって抽象的に表現された光学的流動)を作成する前段階として、取得した映像データへの視線行動を確認する作業を新たに追加した。この作業過程の変更により「光学的流動」を計算機上に再構成するプロセスでの作業が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度に追加取得した実車走行データの分析を行うことと平行して、計算機上での「光学的流動」の再構成に必要な作業を平成28年度前半で終了させるようスケジュールする。追加データの必要性が判明した場合にのみ、夏期に実車走行データの取得を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費における費用負担の軽減があったこと、研究発表の延期、および謝金、その他(テストコース使用料)において節約が可能であったことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
実走行データを追加取得するための旅費、および研究補助者への分析作業の依頼、研究発表費用等に使用する。
|