研究課題/領域番号 |
26330324
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
大佐賀 敦 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00396433)
|
研究分担者 |
近藤 克幸 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30282180)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ロケーション情報 / RFID / アクティブタグ / 利用者認証 / ユビキタス技術 / セキュリティ |
研究実績の概要 |
27年度は、前年度に構築・検証した無線LANアクセスポイントを用いた位置検出基盤を、実際の医療機関での利用に即して複数階への拡張を行い、上下階や別の建物など、本来の人の移動と一致しない無線LANアクセスポイントへのローミングを判断できるアルゴリズムについての検証を行った。 26年度の検証で、無線LANインフラによる位置検出は部署の粒度を基本とし、入院病棟ではスタッフステーションと各病室群へと粒度を上げることで、利用者が当該部署で業務を行っていることの確認に利用できることが示唆された。この粒度での位置検出を、利用者が所持するデバイスの無線LANアクセスポイントへの接続情報を元に行う場合、電波状況により上下階や隣の建物のアクセスポイントへ接続することが誤検出の原因となり、実用性を大きく阻害するものとなっていた。 本研究課題では、これを解決するため、実際の人の移動ではあり得ない移動をノイズとして除外することで位置推定精度の向上を試みた。集中コントローラ型無線LANアクセスポイントの接続・切断情報を元に前述の粒度での位置検出を行い、結果を図示するアプリケーションを開発した。これにより、各機器のアクセスポイントローミングの様相が視覚的に把握可能となり、上下階など人の移動と乖離する場面の実態把握が可能となった。この結果を基に、位置検出基盤に「移動としての認識が妥当なローミング先」の情報を設定し、一連の接続・切断情報を時系列で判断することで、エレベータや階段等、実際にあり得る移動に伴うフロア間のローミングは正しく認識し、それ以外の上下階や隣の建物へのローミングはノイズとして扱うことが可能となった。これにより、複数階に設置された無線LANインフラを用いて、利用者の位置情報を実用的な精度で捉え、利用者の認証情報として使用することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、病院という建物自体が認証基盤の一部となり、「正当な利用者本人がその場所にいるという事実」により認証される“ユビキタス化した利用者認証機能”を実現すべく、ロケーション管理システムと情報システムの利用者認証を動的に連携させ、1)必要なときのみ利用者の位置情報を検索し、認証に必要十分なデータを提供する位置情報処理基盤の構築、2)前述の位置情報処理基盤と連携し、利用者のアクセス場所と本人の所在情報を照合することで、利用者認証を強化する認証基盤の実現、の2点の達成を目的としている。 27年度は、無線LANを用いた位置検出の最大の問題である「上下の別の階や別の建物のアクセスピントに接続され、その結果、位置が誤検出される」という現象に対して、複数階の無線LANアクセスポイントにおける情報を経時的に解析することによる解析を試み、上記1)の位置情報処理基盤について、広範囲かつ複数階での実用的な位置検出の実現を目標とした。開発した位置検出基盤に「移動としての認識が妥当なローミング先」の情報を設定し、一連の接続・切断情報を時系列で判断することで、人の移動と極端に乖離する移動をノイズとして検出することができ、研究目標の達成度としては、概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度は本研究課題の最終年度であり、これまで構築してきた位置情報処理基盤を実際の利用者認証基盤と連携させることにより、ロケーション情報による利用者の所在情報を利用した認証機能について、総合的な評価・検証を行う。 27年度に構築した広範囲かつ複数階で利用できる位置情報処理基盤を利用し、利用者ログインの際の位置情報による追加認証機能を実証し、同機能をシステム全体で機能させた際の課題を抽出し、全体最適化を図る。そして、利用者ログイン以外の認証-離席時の画面ロックの異界所や業務アプリケーション使用中の特権操作時の追加認証、スマートデバイスやモバイル端末での利用者認証など、病院業務における種々の認証場面における応用可能性について検証する。
|