本研究では,心電図のR-R間隔から得られる心拍変動を,独立主成分分析(ICA)の手法を用いて,情報理論の観点から分析した.その結果,時間-周波数の空間における,各符号語(フィルタ)の分布は疾病の有無で異なることが分かった(健康人は0から0.5Hzの間に均一に分布,睡眠時無呼吸症候者と心不全者では0.15Hzの低周波数に集中).このことは心臓疾患の計算機診断支援の可能性を意味する.また,コーディングの次元は,健康者から非健康者になるにつれて減少することが分かった.次元減少は心臓の情報処理能力の減少と考えることができる.このように心拍動調節の理解と診断について有用な知見を得た.
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