研究課題/領域番号 |
26330338
|
研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三上 剛 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40321369)
|
研究分担者 |
米澤 一也 独立行政法人国立病院機構函館病院(臨床研究部), その他部局等, 臨床研究部長 (20301955)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 生体信号処理 / パターン認識 / いびき / 睡眠時無呼吸症候群 |
研究実績の概要 |
本年度は,昨年に引き続き睡眠時に録音した音データから,いびき音のみを自動的に抽出する手法の検討を行った.昨年度は,Cavusogluらの固有空間法を用いた先行研究の追試を行い,識別処理にk-Nearest Neoghbor法を適用するなど改良を試みたが,今年度は,固有空間法ではなく特徴抽出手法として粗視化したスペクトルを用いて,識別処理にサポートベクタマシンを用いた.注意深くパラメータ調整を行った結果,固有空間法を用いた場合に比べ,Specificityが10%以上の改善が見られた.しかし,Specificityは未だ90%以下の値になるため,さらなる改良が必要と思われる.
上記に加え,今年度は並行して,KohonenのSelf-Organizing Map (SOM)を用いて,OSAS患者の終夜いびき音の多様性について検討を行った.いびき音の音響特徴としては,「複雑波形」「単純波形」の大きく2つの分類があることが知られており,さらに明瞭な周期性の見えない雑音波形も存在する.従来研究では,OSAS固有の特性として複雑波形や雑音波形が該当すると言われてきたが,単純波形も含めあらゆる波形が存在することが判明した.今後,被験者数を増やして,より客観性の高い結果を得たいと考えている.
上記の成果は,国内の学術講演会及びシンポジウムで5回,国際会議において1回発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いびき音と非いびき音を弁別する手法は当初の想定より難しい問題であり,実用レベルまで到達するのは時間がかかると判断した.今後も改良を重ねつつ手法の改良を進めていくが,同時並行で手作業によっていびき音の抽出を行い,次のステップであるいびき音の多様性と病態解析を行っていく.今後,被験者を増やしながら着々と進めていく.
|
今後の研究の推進方策 |
いびき音と非いびき音を自動的に弁別する手法は,今後,Specificityの改善を進めていく.この手法はいびき音解析のための前処理の自動化に相当するが,今後は前処理の自動化が不十分であっても,これらの作業を手作業で行い,いびき音全体の音響特徴の可視化と要約を行う手法について検討を行う.今のところ,SOMで十分な結果を得ているが,スペクトル特徴のクラスタリングにより適した手法の構築を検討していく.また,被験者数を着実に増やしていき,より客観的な結果を得るよう努め,その生理学的根拠についても考察する必要がある.
|
次年度使用額が生じた理由 |
データ保管用のハードディスクを購入する予定であったが,まだ被験者数が少なくデータもそれほど大規模でないため,今年度の購入は不要と判断した.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度以降,被験者数が徐々に増えていく予定であるため,データ保管用の大容量記憶媒体が必要である.次年度の購入を計画している.
|