突然変異が引き起こす細胞の性質の変化(表現型の変化)が微小環境を通じた周りの細胞との相互作用の結果、どのようにがん細胞の増殖に影響するのかを、数理モデルの研究から調べた。突然変異の種類としてはセルラーポッツモデルで表現可能な細胞膜の固さ、及び接着力が変化する場合を想定した。細胞の相対的に異なる固さと相対的に異なる接着力をそれぞれ2種類導入し、4種類の性質の異なる細胞をモデル化し、計16種類の組合せの変異ダイナミクスを計算した結果、がん細胞が指数関数的に増殖して腫瘍を形成する場合に加えて、がん細胞がある一定以上は増殖しない、腫瘍が生じない表現型変化の組合せが存在することを発見した。
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