研究課題/領域番号 |
26330341
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮下 尚之 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (20452162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / レプリカ交換分子動力学法 / APP / PSH |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病初期過程で鍵となるアミロイド前駆体タンパク質(APP)はニューロンの生体膜上で、β切断酵素とγ切断酵素によって生体膜近傍領域を切断され、アミロイドβ(Aβ)ペプチドを生成する。γ切断酵素の切断の仕方でAβ40やAβ42などが生成されるが、その中でもAβ42ペプチドは老人斑の主成分になっている。γ切断酵素はAPPの膜中の部位を切断するがそもそもどの様にAPPがγ切断酵素と結合するのかすら、現状よく分かっていない。最近PSHというγ切断酵素に似たタンパク質の構造が解かれたが、その構造とAPPとの結合構造の理解はAβ42の生成機構にも繋がるであろう。そこで、初年度である平成26年度は、PSHの分子動力学シミュレーション及び、PSHにAPPを結合させるための手法開発の為の準備および開発を実施した。本研究の手法開発では、大規模計算機システム用に開発した多次元レプリカ交換分子動力学プログラムREINを利用する。 ①手法開発準備:MDプログラムであるNAMDのλダイナミクス法の実装練習をAPPの二量化の計算をテストシステムとして実施した。うまく機能した。 ②手法開発:λダイナミクスのインプットを生成するモジュールの作成を実施した。また、並列にλダイナミクスシミュレーションを実施できるようにREINを改良した。現状、些細なバグなどがあり多少改善する必要があり、目下対応中である。 ③PSHの分子動力学シミュレーション:X線構造から得られたPDBファイル中のデータが無い部分をモデラーでモデリングし、150mM NaCl下、POPC膜上で普通のMDシミュレーションを実施した。現状50nsなのでまだ計算時間が足りない。 現在、開発およびPSHのMDシミュレーションを引き続き実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、もし理想的に研究が進展すればこの研究は2年+αで完了する予定であった。しかし予想通り様々な問題が生じた為に理想的な研究進度より少し遅れている。とは言え、それを見越して研究を3年間としており、現実的な観点から見ると研究は順調に進んでいる。 手法開発準備に関しは問題無く順調に終了した。手法開発にて、現在、バグ修正を繰り返し実施しており少し遅れが生じている。とは言えこの手法開発が本研究のなかで最も重要な研究なので、現在、全力で取り組んでいる。 PSHの分子動力学シミュレーションに関してはモデリングに時間がかかってしまった。未だ不満点がある。現在いろいろな問題点が見つかったので、それらの知見を生かしてもう一度モデリングをし直し再計算を実施する予定である。 更に遅れの原因の一つに私自身の異動もあった。今回、異動の準備及び事後整理の為に多大な時間が割かれた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、大きいタンパク質(PSH)と小さなタンパク質(APP)の結合安定構造を見つける為の手法開発と実証研究を実施する。結合安定構造を見つける為には効率よく幅広い配置空間をサンプリングしなければならない。例えばある配置でAPPを移動・回転させるなどである。その際にクーロン力が自由な移動・回転をじゃまする場合が多い。そこでタンパク質の表面電荷に対してλダイナミクスを用い、小さなタンパク質を移動・回転させる際に構造が壊れない様に表面電荷をゼロに近づけ、移動後、電荷を元にもどす。また、実証研究としてこのプログラムを使ってAPPとPSHのドッキングシミュレーションを実施する。 プログラムのバグに関しては手間をかけて減らすしか無いので実施し、今年度前半までにプログラムの開発を終了させる。PSHのモデリングに関して、よりもっともらしい構造になるように作成し直し、今夏の終わりまでには分子動力学シミュレーションの再計算を完了する。 その後、APPとPSHの結合構造予測を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、全て使用する予定であったが、27年度4月の異動が決まった為に急遽利用を控えた。実際、異動による研究の多少の遅延もあり、次年度以降に利用するのが良いと判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
GPGPU搭載のPCおよびGPGPUもしくはIntel xeon Phi数枚を購入する予定である。これらは手法開発およびテスト計算に利用する。
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備考 |
ホームページなどは、異動したので現在作成中である。
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