研究課題/領域番号 |
26330341
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宮下 尚之 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20452162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レプリカ交換法 / 結合配置予測 / 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
2つの膜タンパク質のヘテロ二量体(結合)配置予測の為のプロトコル作成と、PSHとAPPを用いた実証研究を行う事が本研究の目的である。 平成27年度は研究代表者の異動とそれに伴う研究体制・研究機器などのセットアップをする必要があった為、申請書に記載した次善策での研究進行となった。当初計画では平成27年度にPSHのドッキングシミュレーションを実施し2年でほぼ終了させ、最終年度は予備の予定であった。次善策では最終年度に実証計算を行うとしていたが、その予定通りとなっている。 平成27年度は2つの研究を実施した。1)平成26年度に引き続きドッキングプログラム開発を実施し完成させた。2)次にγ切断酵素を考慮したPSHのシミュレーションをセットアップも含めて100ns実施し、平成28年度に実施する実証計算の準備を行った。 1)の開発に関して、結局、NAMDのλダイナミクスを利用した。これは既にNAMDとREIN(レプリカ交換インターフェースプログラム)の結合に関して実績があった為、開発が簡便であったからである。異動により計算機環境が変わったのでこの点でテスト計算を実施するのに苦労した。しかしながら、現状のコードでは、大規模計算機が必要となり、今後の改善課題として、必要とする計算機数(計算量)を減らす工夫をする事があげられる。次年度は計算量を減らすアイデアも考えてその試行を引き続き実施する。 2)のPSHのシミュレーションは幾つかの条件で試したが、PSHと脂質分子との相互作用の部分で新たな発見があった。そこで、本研究とは別途それに関する研究も進めている。次年度の為の実証用の準備はできていると言って良いであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最善策として当初は2年でほぼ終了させ、1年間は予備の予定であった。申請当初、異動は予測できない事であったが次善策も用意していた。結局、異動のために研究進度が遅くなり、最善策で定めた予定より遅れることになった。また、作成したプログラムも改善すべき点は幾つかあり、引き続き改良をした方が良い。しかし、次善策としていた3年目にヘテロ二量体配置予測を行えるところまではなんとかたどり付けたので、「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は予定通り、PSHとAPPの結合配置予測計算を実施する。ただし、目標である、2つの膜タンパク質の結合配置予測のプロトコル開発に関しても、より良いものを作成したい(現状、計算量を減らすという課題が残っている)ので、その点に関しても引き続き力を入れて研究を続ける予定である。膜タンパク質であるPSHの新たな課題に関しては別途研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に異動したため、研究室の立ち上げなどで、当初の予定(最善策)通りに研究が進まなかった為、研究費利用計画も次善策の計画で進める事にした。特に計算機は必要となった時点での最新機種を購入するのが最も効率良い。実証シミュレーションを来年度実施する事になったので、必要な物品を来年度早々に購入する事にした。その為、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は次善策に従って、最善策で平成27年度に使用する予定であった物品の次年度購入などを行う。具体的には従来予定のスパコン利用料、論文出版、海外での学会旅費の他に、次年度に実施する事になった実証シミュレーションの為の解析・実施用計算機(2台)および加速モジュール(GPGPU)を購入する。計算機は必要となった時点での最新機種を購入するのが最も効率良い。来年度実施シミュレーションに必要な物品を来年度早々に購入する。
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