研究課題/領域番号 |
26330344
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 純一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30508924)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 取引ネットワーク / 深層学習 / ネットワーク分析 / サプライチェーン |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模な企業間の取引ネットワークの分析に基づき、ネットワークにおける企業間の新たな提携・連携先の発見支援、および頑健で持続可能なサプライチェーンの構築支援を目的とする。 平成26年度は、まず研究項目「企業間の取引に関する大規模な複数異種の情報源からのデータ収集と大規模な取引ネットワークを分析する手法の設計と実装」について、これまでの研究成果として、すでに保有している国内数万社の企業の属性情報、取引情報、ウェブから取得した製品・技術情報に加えて、各企業の市場情報、さらに出願特許情報から詳細な製品・技術情報の収集を行った。収集した情報に基づき、まず各企業の仕入先と販売先という取引関係をリンクとした大規模な取引ネットワークの抽出を行った。その上で、ネットワークのノードとなる各企業に対して、その企業のデータの関連づけを行った。 次に研究項目「深層学習を用いて取引構造に関する潜在的特徴量を抽出する手法の設計と実装」について、抽出した数万-数十万社の間の取引ネットワークのリンク情報とネットワークの構造情報(リンクの有無、ネットワーク中心性、モチーフ、コミュニティ等)を数百万から数千万の次元からなる入力として、深層学習のGreedy Layer-wise学習により、非線形な変換を行い、取引ネットワークを特徴付ける低次元の潜在的な特徴量抽出を行った。また、取引ネットワークのノード情報である各企業の製品・技術情報についても特徴語とその複数の重みからなる数千万次元の入力に対して、深層学習により潜在的な特徴量の抽出を行った。属性情報や市場情報といった、他のノード情報についても同様に、超高次元の入力から低次の特徴量の抽出を行った。深層学習においては、膨大な入力データ及びパラメータを扱う必要があり、GPGPUや並列計算機を用いた効率的な処理の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は主に、企業情報、取引情報、ウェブ情報等の大規模な異種のビックデータから取引構造の潜在的な特徴量を抽出する技術の実現のために、関連するデータを網羅的に収集した上で「深層学習を用いて取引構造に関する潜在的特徴量を抽出する手法の設計と実装」について研究を進める計画であったが、当初計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、まず平成26年度の研究に行った、深層学習を用いた取引構造をモデル化するための潜在的特徴量の抽出に基づいて、企業間の取引関係を予測するための学習器の設計と実装を行う。そのために、取引ネットワークにおいて、取引が存在する関係を正例、存在しない関係を負例として、複数の学習データセットを作成する。学習データセットに対して、線形関数や非線形なカーネル関数など複数の学習器の検討を行い、取引構造の潜在的特徴量を用いた取引関係予測手法とその精度について知見を得る。 次に、大規模災害のような緊急時においても取引ネットワーク全体がレジリアントであるために持つべき回復性や持続可能性等の性質について、サプライチェーンの専門家と議論し、それらの性質を定量化する。その上で、取引関係予測に基づいて取引先推薦を行う際に、ネットワーク全体のレジリアンスに関する指標を最適化するような定式化を行う。これにより、ネットワーク全体の最適性を考慮しながら、企業間の個々の取引先を推薦する手法の設計と実装を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
企業の属性情報、取引情報、ウェブから取得した製品・技術情報、市場情報、さらに出願特許情報から詳細な製品・技術情報の収集において当初研究補助への謝金を想定していたが、効率的な収集方法により研究補助の必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
収集したデータが大規模なため、高速で大容量のハードディスクおよびそれを処理するためのサーバ機器に充てる。
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