研究課題/領域番号 |
26330347
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
熊本 忠彦 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (30358890)
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研究分担者 |
灘本 明代 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (30359103)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 印象選好 / Twitter / ツイート印象 / 印象推定 / 印象軸 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究では,Twitterユーザの印象選好を,そのユーザがどのような話題についてどのような印象のツイートを投稿する人をフォローしているかという点とフォロワーに対しどのような話題のどのような印象のツイートを投稿しているかという点に基づいて可視化し,利用者の感性に合ったユーザをフォロー候補として推薦するための手法を提案する.この目的の実現に向けて,初年度は以下の2つの研究を行った. ①ツイートの印象を推定する手法の開発 新聞記事を対象とする我々の印象推定手法をツイートに適用し,精度を評価・分析することで,本手法のツイート印象推定における問題点を明らかにした.次年度は,この分析結果を基にツイート向けの印象推定手法を開発する.また,大規模なアンケート調査により,人々がどのような印象のツイートを見たいと思っているのか,見たくないと思っているのか,実際に見たことがあるのかを分析し,Twitterを対象とした印象分析研究において必要となる印象軸を提案した.さらに,顔文字を含むツイートと含まないツイートでツイートの印象がどう変わるかを大規模なアンケート調査により調査・分析し,定式化した.その結果,顔文字を含むツイートの印象を,顔文字を取り除いた文章のみの印象とツイートに付けられた顔文字の種類から求めることができるようになった. ②ユーザの印象選好を可視化する手法の開発 我々の印象推定手法をベースに,指定したユーザの印象選好を可視化するシステムを構築し,WebアプリケーションシステムとしてWeb上に公開した.このシステムを用いることで,指定したユーザがどのような話題についてどのような印象のツイートを投稿する人をフォローしているか,フォロワーに対しどのような話題のどのような印象のツイートを投稿しているかを,散布図,円グラフ,キーワード表示といった形で視覚的に得ることができるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ツイートの印象を推定する手法の開発では,新聞記事を対象とする我々の印象推定手法をツイートに適用してみた結果,文字数が少ないときやTwitter特有の表現が含まれているとき,世代あるいは地域に特有な表現が含まれているとき,印象を正しく求めることができないことがわかった.また,Twitterを対象とする印象分析の際に基準となる印象軸として,感情属性(ポジティブ,ネガティブ),情報価値(重要度,知的水準,有用性,新奇性,興味度),情報品質(信頼性,客観性)を提案したが,感情属性についてはさらに細分類する必要があることを示した.さらに,顔文字を含むツイートの印象を,顔文字を取り除いた文章のみの印象とツイートに付けられた顔文字の種類から求めることができるようになった. ユーザの印象選好を可視化する手法の開発では,指定したユーザの印象選好を可視化するWebアプリケーションシステムを構築し,http://www.ns8bb.com/twitanalyze/において公開した.さらに,平成27年度に実施を予定していた時間軸の概念を部分的に先行して導入し,個々のユーザのツイート印象の時間的な変化を可視化する手法を開発した.
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今後の研究の推進方策 |
ツイートの印象を推定する手法の開発では,短い,断片化された文章であるツイートに対しても有効に機能する印象推定手法を開発する. ユーザの印象選好を可視化する手法の開発では,ユーザ単位の印象可視化手法を開発する.また,時間軸の概念を導入し,個々のユーザのツイート内容が印象と話題の両面においてどう変化していくかを可視化する手法を開発する. ユーザの印象選好の可視化に基づいてユーザを推薦する手法の開発では,不特定多数のユーザの印象選好を可視化する手法を開発するとともに,その中から利用者の感性に合ったユーザを推薦する手法を開発する. 今後も,研究代表者の熊本と共同研究者の灘本とで密に連絡を取り合い,計画の見直しと軌道の修正をしながら研究を遂行する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由として,予定していたアンケート調査を次年度に延期したことが挙げられる.より信頼性のあるアンケート調査を行うために,アンケート方式とアンケート項目の精査が必要と判断した結果である.
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次年度使用額の使用計画 |
現在,より信頼性のあるアンケート調査を行うために,アンケート方式とアンケート項目を精査しているところであり,十分な準備ができ次第,実施する予定である.
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