研究課題/領域番号 |
26330348
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
藤村 考 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90634642)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レスポンシブ可視化 / three.js / HTML5 / 3DCG / データ可視化 |
研究実績の概要 |
H26 年度は、レスポンシブ可視化システムのプロトタイプの実装に取り組んだ。可視化対象データとしては、社会的なニーズが高いと考えられる購買履歴データを対象とした。購買履歴データは、株式会社野村総合研究所が販売しているインサイトシグナルデータを使用した。このデータは3,000人のモニタに対する詳細なアンケート調査やWebアクセス履歴によって取得されたものであり、モニタの年齢や性別等のデモグラフィック属性データと、TV視聴履歴、Web閲覧履歴、雑誌や新聞の購読履歴などの刺激系データと、商品別の認知、購入意向、購入経験、リピート状況といった購買系データが含まれる。このデータから、雑誌同士の共購読率を算出し、購読雑誌をノードとし、雑誌の共購読率をエッジとする雑誌の共購読ネットワークを作成した。このネットワークにおける各ノードにはその雑誌を購読しているモニタの職業、趣味、年齢等やミネラルウォータ等のいくつかの商品の購買履歴等の多数の属性が与えられているため、本研究のターゲットである属性付きグラフとみなすことができる。H26 年度では、特定の商品をインタラクティブに選択することによって、雑誌の購読と商品の購買との関係性を直感的に可視化するシステムのプロトタイプを実装した。実装にはWeb ブラウザ上にダイナミックに変化する美しい3次元モデルの表現が可能なthree.js を用いた。具体的な表現手段としては、雑誌の共購読ネットワークを2 次元平面座標に置き、分析者が注目すべき属性を選択することで、共購読ネットワーク上に配置された商品の購買率が棒グラフの高さがレスポンシブに変化する3次元棒グラフ表現等を実装して評価した。これにより、雑誌のクラスタと購買商品等の関係性の発見といったマイニングタスクにおいてレスポンシブ可視化が有効であるという本研究のResearch Questionに関する見通しを得るこことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実装を優先して研究を進めたため、評価と論文投稿が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は、three.jsを駆使してデータの関連性を表現する新しいアニメーション表現を提案・実装し、データ分析者のユーザエクスペリエンスを高める機能を実装する。当初、H27年度はより多様で大規模なデータセットの可視化を目指す計画をしていたが、上記の野村総合研究所が提供するデータには多様なデータが含まれ、汎用性を評価するためにも適切である見通しが得られたため、データの量よりも可視化の質を高めることに、研究の重点をシフトする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表の遅れにより、旅費を支出しなかった。 Amazon AWSを使った計算コストは、今回使用したデータが小規模なため少額で済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は情報収集と学会発表のため、旅費を支出する。 Amazon AWSの費用に残余が出た場合には、H28年度の評価費用の不足分に充てる。
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