病院入院患者の病棟間移動の待ち行列ネットワークモデルの研究では、新生児患者の病棟内移動について、実データの統計的分析を行い、3つの病棟間を移動する患者の流れを表す待ち行列ネットワークと、離散時間Markov連鎖でモデル化する方法を確立した。 国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院(神奈川県横浜市)の協力を得て、同病院における手術実施データ(患者名・病名・診療情報等を除く)の提供を受け、集計および統計的分析を行った。手術スケジューリングに係る一連の作業工程を、手作業からできるだけ自動化・効率化する方法の開発を始めた。まず、術式の変換の自動化を研究した。この研究における申込術式から予定術式への自動変換の試みでは、医学・医療の専門知識を用いず,過去における両術式間の対応事例を統計的に分析し、その結果を利用して,毎週、新たに与えられる申込術式に対して予定術式を推定することを目指した。申込術式名称は不定文字数の非構造化データである。そのために、術式の形態素解析、データマイニングにおけるトピックモデル等の方法を利用することが考えられる。しかし、現場スタッフの理解と利用可能な計算機環境を考慮して、Excelの操作と関数だけで推定できる方法を試作した。 関連する理論研究として、複数のサーバ(手術室に対応)が離脱のある客(患者に対応)をサービス(手術に対応)する待ち行列モデルの確率過程を解析する新しい理論的方法を発見した。その結果、これまでは客の待ち時間等の分布のモーメントしか計算できなかったものが、確率分布関数もラプラス変換の形で明示的に得ることに成功した。
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