研究課題/領域番号 |
26330357
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
椿 美智子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20221418)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 顧客タイプ / 従業員タイプ / 学習者タイプ / 地域差 / ベイジアンネットワーク / 階層一般化線形混合モデル / 価値観タイプ / Factorization Machines |
研究実績の概要 |
本年度も,多様なデータに対応した顧客タイプ別サービス効果分析システムに関する研究において,様々な角度からの研究を行い,以下の成果を得た。 1)顧客タイプと従業員タイプの組み合わせを考慮したベイジアンネットワークによるサービス効果分析の研究論文"Purchase Analysis based on the Relationship between Customers and Service Providers"はJournal of Management Studies, Vol.6,No.2, pp.67-95に掲載され,"A Study on Type Classification of Employees and Sales Support Analysis based on Similarity of Sales-purchase Bayesian Network Structure"はJournal of Advanced Management Scienceに掲載決定となった。 2)教育データに対応した学習者タイプ別学習効果分析の研究論文"A Study on Analysing Speaking-pen Learning Log Data Considering Interests for Improvement of Primary School Children's English Ability"がInternational Journal of Learning Teaching and Educational Researchに掲載決定となった。 3)地域や年代タイプによって定住意識がどう変わるか住宅サービス効果分析の研究論文"階層一般化線形混合モデルを用いた定住意識の地域差・年代差の分析に関する研究"が地域学研究,Vol.47,No.4に掲載決定となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は平成30年度に入ってから,ビッグデータ時代における大規模データに基づく顧客タイプ別サービス効果分析の研究を実施する予定であったが,29年度の成果である研究論文①"A Study on Type Classification of Employees and Sales Support Analysis based on Similarity of Sales-purchase Bayesian Network Structure"(Journal of Advanced Management Scienceに掲載決定),②研究論文"階層一般化線形混合モデルを用いた定住意識の地域差・年代差の分析に関する研究-都市施設・住宅情報と市民意識を組み合わせたデータを用いて-"(地域学研究Vol.47,No.4に掲載決定),③研究論文"Prediction of Purchase Behaviors based on Customer Demand Value using Factorization Machines"(Journal of Advanced Management Scienceに掲載決定)は全て大規模データに基づくタイプ別サービス効果分析の研究成果となっている。 ①はサービス提供者の販売の仕方タイプに基づく顧客の購買タイプの研究を全国規模のID POS-Dataにより行った研究である。②は大規模地域空間データ(都市施設・住宅情報データ)に基づいて地域差・年代差を分析した研究である。そして③は統計的機械学習のFactorization Machinesにより購買予測を行うと共に,購買行動大規模データから各顧客の価値観を抽出する手法も提案し,その組み合わせにより,顧客の価値を広げ,ワクワク感が増すような推薦手法を開発しており,当初の予定よりかなり研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ビッグデータ時代における大規模データに基づく顧客タイプ別サービス効果分析の研究を深めていく予定である。 1)顧客の価値観だけではなく幸福感を高められるような顧客タイプ別サービス効果分析の研究を進めて行きたいと考えている。顧客のID-POS Dataの購買行動から,各顧客が何に幸福感を感じているかをきめ細かく分析し,顧客が持ち得ている価値が拡張され,視点や満足感の幅が広がるような質の高さのサービスを提示可能な顧客行動サポート分析手法を提案する。アンケート調査データの分析を行い,それぞれ,女性らしさ,男性らしさや,自分らしさ,家族との生活,パートナーとの関係,健康等に,幸福感を感じている人が多いことを導いている。これに基づき,ID-POS Dataの購買行動から各顧客の幸福感をよりよく分析するアルゴリズムを提案する。さらにベイジアンネットワークやGeneralized Matrix Factorization等の統計的機械学習により購買高確率推薦アイテムを予測する。その上で,上記アルゴリズムと組み合わせ,単に購買確率が高くなるものではなく,顧客自身の価値拡張による幸福感が広がる顧客行動サポート分析手法開発を行う。 2)顧客の幸福感は,色々な商品を購買するのみではなく,様々なサービスを経験することによっても実現される。今までは,様々なジャンルの商品を購買するという小売サービスのデータにおいて分析・研究を行ってきたが,今後は,体験型サービスも分析対象に加え,幸福感が満たされる幅を広げたいと考えている。 3)学習者タイプ別学習効果分析に関しては,批判的思考能力の測定を題材に,下位スキル間のモデリングをベイジアンネットワークにより行い,どの下位スキルとどの下位スキルが関連していて,各生徒がどの下位スキルから向上させれば総合的に伸びていくのかをフィードバックできる分析方法の開発を行う。
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