へき地の周産期母子支援システムの開発においては,第一課題にマタニティ向けアプリケーションとして,妊娠週数に対応した機能を開発し,スマートフォン利用者に向けて公開配付した.研究の3年目から着手してきた新たな機能設計では,妊娠期の女性の身体が出産に向けて変化がおきることに着目した.機能は,妊娠してから出産までの身体の変化や過ごし方など,時間経過に同期した妊娠週数ごとの母胎と赤ちゃんの状態変化について知っておくべき情報・知識をスマートフォンへプッシュ通知(該当する週数に対応したリアルタイムな情報メッセージ)ができるようにし,検証アンケートを実施した.妊娠初期~妊娠後期(出産時期)の期間における母胎と赤ちゃんの状態変化の情報・知識の獲得は,マタニティ自身の気づきや自覚を呼び起こすことを目的に開発した.例として,母胎の異常の気づきや自覚は,医療機関への早期の受療意思決定の際の態度と行動準備にも結びつく仮説を設定して機能設計した.アプリケーションに実装したプッシュ通知の定型情報・知識の内容は行政の保健師・医療機関の専門家の監修協力のもとで検討し作成した.また,へき地の周産期母子支援システムの開発の第二課題に,在宅でのセルフメディケーションの実現可能性を視野に,妊娠期間のマタニティの生活行動・習慣の管理記録支援アプリケーションを開発した.マタニティのセルフメディケーションでは,妊娠期に多い症例の妊娠糖尿病に着目した.看護援助に関する母性看護学の理論を用いた支援を視野に,妊娠期の生活習慣から出産まで血糖値を正常化するための記録管理アプリケーションを開発して,スマートフォン向けに公開配付した.アプリケーションは,妊娠糖尿病の確定診断後に使用することに留意し,在宅での血糖値・血圧の管理記録を,従来の紙媒体記録用紙をスマートフォンアプリケーションへ入力できるように設計開発した.
|